食を通じた介護予防の充実を

加齢に伴う様々な機能の低下によって健康障害を起こしやすくなっている状態のこと「フレイル」と言い、「フレイル予防」は高齢者施策の大きな柱です。専門家はフレイルを加速させるのが「低栄養」だと指摘しています。

「毎回食事を作るのが大変」「食事が楽しくない」「1人だから簡単に済ませる」などの食生活では低栄養になってしまう可能性があり、運動機能の低下につながりかねません。

身体機能の低下→活動量減少、基礎代謝量低下→食欲低下→食事の摂取量減少→低栄養→介護リスクの高くなる「フレイル状態」
この悪循環を断ち切るために、「食」を通じた介護予防事業は重要です。

生活者ネットワークは、一人暮らし高齢者が増えている現状で、介護予防プログラムと会食、地域とのつながりが期待できる「いきがいデイサービス」のニーズは高まると考え、拡充を求めてきました。ところが区は、さまざまな介護予防事業に取り組むとして、減少傾向です。一方で、区も「食を通じた交流、健康づくりの場は重要である」と考えています。そのために、いきがいデイサービスよりも必要経費が少額の「食のほっとサロン」を拡充したいとのことですが、コロナ禍で事業が中断した以降、担い手の確保が難しいなどの理由で活動団体は減少(現在8か所)したままの状態です。

区は、食のほっとサロンの担い手として、フレイル予防サポーターを後継者として育成して、団体を支援、充実させていくと考えているようですが、ボランティア頼みの活動では活動の継続は難しいのではないかと懸念します。

都民提案の予算の活用を提案

東京都は2023年度の予算編成にあたって、都民提案として採択された約5千万円の「TOKYOシニア食堂推進事業経費」を予算計上しました。
地域の高齢者が気軽に立ち寄り、飲食しながらさまざまな交流をすることできる「TOKYOシニア食堂」の取り組みを推進することにより、高齢者の交流機会の増加、心身の健康増進、多世代交流の促進を実現することを目的としています。
7月下旬に自治体に実施要項が示されたのですが、区は、既に「食のほっとサロン」を実施していることと、この予算が単年度事業であることを理由に利用しませんでした。確かに、来年度の補助が見込まれないので、事業開始2年目からは区独自の負担が増えるという構造になりかねません。一方で、都民提案で予算化したということは、ニーズがあるけれどもこれまで予算化していなかったともいえます。

自治体が都の予算を活用し、次年度も継続して予算化すること、ニーズに応じて更なる拡充を求めていくことも必要ではないかと考えます。

今後も、地域の高齢者が気軽に立ち寄り、飲食しながら様々な交流をする「会食と居場所」事業の拡充を求めていきます。

11月19日の全国都市農業フェスティバルに向かう途中で空を仰ぎました。ブログの内容とは関係ありませんが・・・