堺市総合防災センター~総合・災害対策等特別委員会視察報告~

視察2日目は、2022年4月に開設した「堺市総合防災センター」を訪問。

整備の経緯

全国各地で集中豪雨や台風などの自然災害が猛威をふるい、堺市においても南海トラフ巨大地震や上町断層帯地震などの大災害が懸念されるなか、防災の拠点として「自助・共助・公助」の連携によって地域の防災力向上を図り、災害に強い都市形成を推進することを目的として整備。

2015年度に農業用水のため池だった土地を取得。
2017年2月 整備計画策定。ため池だったために同年9月から敷地造成工事。
2020年3月 建設工事開始。
2021年10月 竣工。
2022年4月 「堺市総合防災センター」として運用開始。

事業方針

〇地域防災力向上のための「地域の連携強化・地域防災を担う人づくり」(防災リーダーの育成)
消火や煙避難、ガレキ救出などの自主防災訓練では実施が困難な体験を地域住民が体験できる研修・訓練施設
〇消防職員・消防団員の資質向上や人材育成を目的とした「消防・防災力の強化」
さまざまな災害特性に対応する専門性の高い教育・訓練を実際の災害現場を想定したリアリティの高い環境で業務に取り組める施設
〇大規模災害発生時の「円滑な受援体制の確立」
大規模災害発生時などに、全国からの緊急消防援助隊などの応援部隊の集結場所、消防局庁舎などが被災した場合における代替機能、食料・生活必需品などの備蓄機能、支援物資の集積・配送機能を持つ広域的な災害応急対策の拠点

施設概要(5つの建物と屋外訓練場)

〇防災啓発施設
子どもから大人まで楽しく学びながら災害に備えることのできる、堺市初となる体験型防災学習施設。視察当日も市内の小学生が見学に来ていました。
〇水難救助訓練棟
・潜水訓練水槽
直径6m、深さ8mの潜水プールで高水圧下での水難救助訓練を実施
・25mプール
幅8m、長さ25mの訓練プールで基本的な溺者救出訓練を実施
〇総合訓練棟
リアリティの高い環境で、さまざまな災害特性に対応するため、実火災訓練、煙・熱気訓練、エレベーター救出訓練、低所救出訓練、燃焼実験などを行うことができる
〇救助訓練棟
消防訓練における基本的な救助技術訓練を行う施設として、全国消防協会で定める各種の訓練種目に応じた施設
〇災害活動支援棟
消防隊が24時間常駐する施設と食料・生活必需品などの備蓄機能、支援物資の集積・配送機能を併せ持つ施設。約1500㎡の備蓄スペースと施設外側に大型の庇(おおい)を整備することで雨天時の搬入搬出の作業スペースを確保。
〇屋外訓練場
消防団のポンプ操法訓練。
都市型捜索救助訓練として、コンクリートブロックを積み上げてCSR訓練ができる。
CSRとはConfined(狭隘な)Space(空間)Rescue(救助活動)の略で、日本語では狭隘空間における救助活動やがれば救助と言われ、震災等が発生し、倒壊建物内からの要救助者救出を意味します。

広大な敷地に、消防職員の高度で専門的な訓練と消防団の訓練、地域住民の防災啓発施設が一体的に整備されているのが特徴的でした。
また、自然エネルギーの積極的活用や省エネ型設備、訓練用の水の循環再利用、煤煙の排気や煤煙を含んだ排水を適切に処理してから排出するなど、環境にも配慮した施設でした。

一般の市民が利用できるのは防災啓発施設だけです。

視察当日は近隣の消防職員が潜水訓練水槽で訓練中でした。

実火を発生することで温度の上昇を実感しながら消火訓練できる(ガス燃料なので消火はできません)

総合訓練棟内の実火災訓練や燃焼実験で使用する燃料

奥に見えるのが「救助訓練棟」。手前左側は「総合訓練棟」

大型の備蓄倉庫機能もある災害活動支援棟の内部。2階の物資は右端のダクトを利用して搬出