反対討論 マイナンバー制度 コンビニ交付に関わる条例改正

 マイナンバーの通知カードは届きましたか?10月5日に「社会保障・税番号法」いわゆるマイナンバー法による通知カードの配布が始まりましたが、区内での通知カードの配布開始は当初の予定から1か月以上も遅れ、区内でも誤配など混乱が生じています。

 2016年4月からコンビニエンスストアに設置してある端末機を使用した各種証明書や戸籍の謄抄本の交付サービスが始まります。現在稼働している22台の自動交付機は2017年6月に廃止される予定です。

 第4回定例会では、「コンビニ交付」の開始に伴って条例を改正する4議案が可決されました。生活者ネットワークは、個人の選択であるはずの個人番号カードの作成を行政が誘導し、紛失などによる情報漏えいやなりすましのリスクを高めるため、この議案に反対しました。以下、討論文を掲載します。本会議の映像もご覧ください。

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 生活者ネットワークを代表し、議案第115号練馬区印鑑条例の一部を改正する条例、第116号練馬区住民基本台帳カードの利用に関する条例を廃止する条例、第117号練馬区事務手数料条例の一部を改正する条例、第118号練馬区戸籍法の事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例に反対の立場で討論します。

 この4本の議案はいずれも、2016年4月からコンビニエンスストアに設置してある端末機を使用した各種証明書や戸籍の謄抄本の交付サービスの開始に伴う所要の改正をおこなうものです。

 反対の理由は、個人の選択であるはずの個人番号カードの作成を誘導し、紛失などによる情報漏えいやなりすましのリスクを高めるからです。

  現在、印鑑登録証明書や住民票の写し、住民税の証明書を自動交付機から取得する場合、印鑑登録証、自動交付機専用カード、住民基本台帳カードの3枚のカードの使用が可能です。2015年3月現在の登録数は、印鑑登録証が212,152枚、自動交付機専用カードが50,600枚、住民基本台帳カードは845枚でした。しかし、コンビニ交付では、これらのカードがいずれも使用不可能になり、サービスを受けようとすると個人番号カードを作らざるを得なくなり選ぶことができません。個人番号カードの利用が広がれば、関連づけられる個人情報が増えることも問題です。

  個人番号カードを持つことのメリットばかりを強調し、リスクを十分に周知していないまま、通知カードとともに個人番号カードの申請書が同封されてくることも問題です。個人番号カードの申請はあくまでも任意であり、行政がカード作成を誘導するべきではありません。個人番号が記載された個人カードを持ち歩くことの危険性をはじめ、デメリットも周知し、本人が理解したうえで個人カードの作成を判断するように促すべきです。

  生活者ネットワークは「社会保障・税番号法」いわゆるマイナンバー制度に問題があることを指摘してきました。

  かつて、住民基本台帳ネットワークの稼働に際して、情報漏えいやプライバシーの侵害を懸念して住民基本台帳カードが普及しませんでした。それは、現在の登録枚数を見れば明らかです。個人番号カードはその利用範囲の広さが住民基本台帳カードの比ではありません。コンビニ交付という利便性を理由に、個人番号カードの普及拡大をすすめることが、個人番号カードを持っていなければ不利益を被る社会や自己責任を増やす社会につながっていくことを懸念します。

  すでに、一部の事業所では今年の年末調整の際に個人番号の申告が求められています。私たちは、個人番号を告知することで派生する問題も認識しなければなりません。たとえば、LGBTとりわけ性同一性障がいの方が、会社に性別を記載した個人番号や通知カードを提示せざるを得なくなる、在日外国人が通名で勤務しているところ、本名と通名併記のカードを提示せざるを得ない場面が出てくるといった、本人の意思を超えて、国が勝手に人権にかかわる個人情報をさらけ出す危険性があることなど、容易に想像ができないところで個人をあぶり出し、声をあげにくい少数者が差別や苦悩を感じる社会にしたくありません。  

  10月5日に施行され通知カードの送付が始まりましたが、区内での通知カードの配布は当初の予定から1か月以上も遅れて始まり、いまだに完了していない状況です。郵便局での保管期間が過ぎたものは練馬区に回ってきますが、この先いつになったら届くのか、めどすら立っていません。また、通知カードの配布については、全国で誤配布や配達員による不祥事が相次いでおり、区内でも光が丘郵便局で誤配がありました。

  以上のことから、多くの問題をはらんだこの制度は、3年後の見直しを待たずに、廃止の議論をすることを求めて、本議案に反対し、討論を終わります。