命を守り人権を保障する災害対策を
元日に発生した能登半島地震。発災から2か月経過した現在も水道や道路などのインフラが復旧せず、1万人以上の方が避難生活を強いられています。自然災害の中でも特に地震は予測不可能であり、備蓄物資やトイレ対策の重要性に加え家屋の耐震化やインフラ整備などの課題を突き付けられました。
あらためて命を守り人権を保障する政治が求められています。
女性・子どもの視点とスフィア基準に基づく支援を
能登半島地震の発災当初は、多くの住民が劣悪な避難生活を強いられました。
生活者ネットワークは、人道支援における原則や最低基準を示した「スフィア基準」に基づく支援を求めてきました。スフィアハンドブックには「被災者は、尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利がある」「災害による苦痛を減らすために、実行可能なあらゆる手段をとらなければならい」という、被災者と支援者に対する2つの基本理念が書かれています。
阪神・淡路大震災以降たびたび大きな地震を経験してもなお、プライバシーを軽視した避難所や性被害、固定的性別役割分担による運営、子どもの学びや遊びの保障など、さまざまな課題が山積しています。誰もが安心して避難できる環境整備が求められています。
防災まちづくりは徹底した情報公開と住民合意で
区は「攻めの防災」を掲げ、老朽木造住宅が密集する地域の改善に向け、道路拡幅や地区計画策定に向けた取り組みを進めています。ところが事業決定のプロセスに透明性や説明が不足するなど、住民からは不信感や反対の意見が出ています。住民合意のための徹底した情報公開と、住民とともに地域の将来像を描き議論する姿勢が行政に求められていると考えます。
防災対策の予算を増額
区は、能登半島地震を受けて急遽、旧耐震基準の住宅の耐震化を促進するために、来年度予算において費用助成を拡充しました。
密集事業実施地区(桜台東部、貫井・富士見台地区)および防災まちづくり推進地区(田柄、下石神井、富士見台駅南側地区)内にある、旧耐震基準の住宅を対象に
耐震診断(限度額12→20万円)、実施設計(限度額22→30万円)、耐震改修工事(限度額130→270万円)、除却工事(限度額130→150万円)の費用を助成します。
また、一般緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進し、避難・物資輸送経路を確保するために、耐震改修工事(耐震改修、除却、建て替え)にかかる費用の助成率を2/3から5/6に拡充します。
(詳しくは、2024年度予算成立後に防災まちづくり課にお問い合わせください)
さらに「避難行動要支援者対策の推進」として、災害時に自力で避難することが困難な方を登録する「避難行動要支援者名簿」を更新するとともに、災害時の避難支援の実効性を高めるため「どこへ」「だれと」避難するかを明確にする「個別避難計画」の作成をすすめます。あわせて感震ブレーカー、家具転倒防止器具等の貸与・取付支援を実施します。
(個別避難計画は福祉部管理課、感震ブレーカー等については防災計画課)
地震国に原発はいらない
今回の地震は、地震列島日本での原発のリスクを改めて露わにしました。
最も大きな被害を受けた珠洲市には、かつて北陸電力珠洲原発の計画がありましたが、住民の反対運動によって建設を断念させた歴史があります。北陸電力志賀原発は停止中でしたが、電源などの設備にトラブルが相次ぎ、さらに、火災の発生や津波の情報をめぐり訂正が繰り返され、正確な情報提供における問題がありました。緊急時の避難計画が、実行不可能であることも露呈しました。
国は、原発に前のめりの姿勢を改め、脱原発にこそ舵を切るべきです。生活者ネットワークは、一日も早い「原発ゼロ」政策の実現を求めます。