安倍元首相の国葬中止を国に求め、区民に弔意を強制しないよう求めました

7月22日に閣議決定した、安倍元首相の国葬が予定されている9月27日まで2週間を切りました。様々なメディアが世論調査を実施していますが、いずれも反対が賛成を上回っています。

根拠となる法律がないこと、国会で議論もないまま強行すること、国葬に係る費用は全額税金が使われること、など反対の理由は枚挙にいとまがありません。

区議会では、9月15日に5会派16名で「安倍元首相の国葬中止を国に求め、区民に弔意を強制しないよう求める」申し入れを区長、教育長あてにおこないました。


2022年9月15日

練馬区長 前川燿男様
練馬区教育委員会 教育長 堀和夫様

安倍元首相の国葬中止を国に求め、区民に弔意を強制しないよう求めます

インクルーシブな練馬をめざす会
(きみがき圭子、高口ようこ、かとうぎ桜子、やない克子、岩瀬たけし)
日本共産党練馬区議団(有馬豊、島田拓、坂尻まさゆき、のむら説、小松あゆみ )
練馬区議会立憲民主党(沢村信太郎、白石けい子、富田けんじ、渡辺てる子)
オンブズマン練馬(土屋としひろ)
ふくし蒼風会(野沢なな)

2022年7月8日、安倍元首相が銃撃により亡くなられました。大変遺憾であり、いかなる理由があろうと、暴力そのものを断じて許すことはできません。
この事件を機に、政治と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関わり等、様々な事柄も表面化されました。二度とこうした事件を起こさないため、また、国民の政治への信頼回復を図るためにも、徹底的な究明と被害者の救済にも取り組むべきと考えます。

岸田内閣は、7月22日、安倍元首相の国葬を閣議決定しました。現憲法下で、国葬令は廃止され、国葬に関する基準等を明確にした法令は存在せず、法的根拠も明らかになっていません。9月11日の調査において、反対51%、賛成が38%と、世論の反対の声も日に日に多くなっています。多くの国民、住民が国葬を望んでいないことは明らかです。
さらに、国葬にかかる全体費用は約16億円と高額で、それ以上かかるとの指摘もあります。住民が生活苦にあえぐなか、国葬に多額の税金をつぎこむことを疑問視する声もあがっています。

現在のところ国は、自治体や教育委員会等に弔意協力の要望を行う予定はないとの見解を示しています。しかし、東京都教育委員会は7月12日の安倍氏の葬儀の際に、弔旗掲揚を都立高校に求め、複数校が掲揚をしました。
練馬区議会の今定例会における一般質問の国葬への質問に対し、区は「国や都から弔旗掲揚や黙祷等の弔意の表明に係る協力依頼等があった場合には、その都度検討します。安倍元首相の国葬については現時点で協力依頼等はありません」と答弁されました。もし弔意の強制があった場合には、「対応していく」という姿勢にもとられることから、大きな懸念を抱いています。

政府や自治体が弔意の表明を強制すれば、社会の分断に学校を巻きこみ、児童生徒に混乱をもたらします。特に学校は子どもの学びと人格形成の場であり、教育基本法は、特定の政党支持や政治活動を禁じています。教育現場に、特定の政治家への弔意を求めることは、教育基本法に反し、憲法で保障されている内心の自由が侵されることになります。
国家や地方自治体が「思想・信条の自由」に反し、国民に弔意を事実上強制することはあってはなりません。

よって私たちは、次の事項を練馬区および練馬区教育委員会に強く求めるものです。

一、 練馬区から、国葬の中止を国に求めること。

二、 国、東京都、および東京都教育委員会に対し、国葬に関する依頼等に応じないことを示すこと。また、各区立施設や学校へ文書や指示を出さないこと。

三、 国や東京都、都教育委員会から練馬区に対し弔意の要請がなかった時でも、練馬区・練馬区教育委員会として弔意を示したり、公共施設や学校現場において弔意を示す行為を求めたりしないこと。

以上


区長宛でしたが、対応したのは小西副区長でした。きみがき圭子区議の左側が堀教育長です。

対応した副区長は「今のところ、弔意を示すことを求めるような通知は来ていないので検討のしようがない」と。
教育施策についての質疑では「学校判断に委ねる」答弁が多いので「国葬に関して学校判断することはないか」質問したところ、教育長「(この手のことについて)これまで区教委が指示を出していないのに学校独自で動いたことはない」と答えました。

ちなみに、前川区長には国葬の招待状は来ていないそうです。

生活者ネットワークは、8月5日に国葬反対の意見を表明しています。また、その後も地域で国葬に反対する行動に取り組んでいます。

練馬では、毎月9日の9条スタンディングに合わせて9月は「国葬反対」をアピールし、国葬の賛否を問うシールアンケートを行いました。

反対の方は、ほとんどの方が各自のご意見を述べながらシールを貼ってくださいました。一方で、賛成の方は無言の方が多く、理由を尋ねると「亡くなった方を悼むのは日本人の文化、国葬は当然のこと」や「国葬に反対するなら年金を受けるな」と発言された方が。

誰であっても死は悼むものですが、国民に弔意を押し付けることにつながる国葬には断固反対です。

9月9日の参加者は総勢15名