2030年カーボンハーフに向けてさらなる取り組みを
地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルをめざすことを宣言しました。
練馬区でも、今年2月に「2050年の二酸化炭素(以下、CO₂)実質ゼロを目指すゼロカーボンシティ」を表明し、今後、実現に向けた計画が策定される予定です。
東京都は、2050年CO₂排出実質ゼロ(=ゼロエミッション)の実現のために、2030年までの行動が極めて重要と考え、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)する「カーボンハーフ」を表明。この実現に向けて、2019年に「ゼロエミッション東京戦略」を策定し、省エネ・再生可能エネルギーを推進してきました。
今年は、環境確保条例や環境基本計画を改定し、住宅への太陽光発電設置義務付けなどの推進策を検討しています。
エネルギー起源CO₂排出量の30%は家庭から
「エネルギー起源のCO₂」とは、発電、運輸、および産業、家庭での加熱など、化石燃料をエネルギー源として使用する際に発生する二酸化炭素です。
東京都環境局のデータによると、2019年に排出されたエネルギー起源CO₂の合計約5300万トンのうち家庭部門は約1600万トン。さらに、2000年のデータと比較すると産業と運輸部門は削減されているのに、家庭部門は大幅に増加しています。
したがって、家庭部門のCO₂削減は大きな課題であり、私たち自身が省エネや再生可能エネルギーの選択など「暮らし方」を見直し、積極的に取り組むことが重要です。
「市民と行政の協議会」に参加
「市民と行政の協議会」とは、都政において市民と行政のパートナーシップで特色あるまちづくりをすすめるために、都議有志が仲立ちして1994年より開催。特定のテーマで市民グループと行政担当局とが政策協議をおこなうものです。これまで、食の安全、ダイオキシン、都市農業、湧水とまちづくり、、エネルギー、LGBTQなどをテーマに取り上げ、7月21日(木)の開催で20回目になります。
国際環境NGO、環境NPO、市民発電所、再生可能エネルギー発電事業者、生活協同組合など9団体が実行委員会を作り、下記11項目について都の取り組みの確認や政策提案。
①新設住宅への太陽光発電設置義務化について⇒2万㎡を開発する事業者が対象
②既設住宅に対する省エネ化⇒断熱化改修費補助の拡充を要望
③再エネ推進の手法⇒市民立発電所の支援(公共施設等の屋根貸しなど)、再エネ発電事業者の後押しなど普及のための取り組みを要望
④再エネ創出の地域ポテンシャル調査について⇒都の屋根台帳は件数のみ、市民との協働で発電量の調査を提案
⑤都営住宅への太陽光発電設置について⇒一般会計に繰り入れている売電収入を「ヒートショック対策費」など目に見える形で支出すべき
⑥公共施設のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化
⑦防災対策におけるスマホの充電などの準備⇒今年1月1日現在、都立施設232か所に設置。一時滞在施設への設置進める。町会・自治会、マンション管理組合などにも。
⑧地域における(省エネの取り組みなどの)「相談」機能について⇒エコアドバイザーなど講師派遣活用
⑨貧困や健康に着目して⇒低所得や高齢者世帯に情報が届くように、社協や介護事業所、子ども食堂やフードバンクなどの支援団体との協働を提案
⑩政策の総合性
⑪未来世代との連携⇒FFF(フライデーズ・フォー・フューチャー)東京所属の大学生の「無作為抽出の気候市民会議」の実施の提案に対して、「シンポジウムやパブリックコメントで意見を聞く」の回答は残念。
行政出席者は下記の通り
環境局:気候変動対策部計画課、計画担当課、環境都市づくり課、家庭エネルギー対策課
住宅政策本部:都営住宅経営部再生可能エネルギー推進担当課、住宅企画部調整担当課
財政局:建築保全部機械技術担当課、省エネ再エネ・計画推進担当課
産業労働局:商工部商工施策担当課
総務局:総合防災部防災管理課、事業調整担当課
各課長
その他に
地球温暖化対策の緊急性、危機感が伝わるように「2030年カーボンハーフ、2050年カーボンニュートラル達成まで、あと〇〇年!」など、TVコマーシャルで周知してほしい(新型コロナウイルス感染対策で都知事自らが訴えたように)。
HTT(減らす・創る・貯る)では危機感が伝わらない。
自治体が具体的に取り組むための財政支援が必要。などの意見がありました。
家庭部門のCO₂排出量削減は、エコ性能の高い家電への買い替えのためのポイント制度の拡充など、単なる省エネの生活を求めるだけでは進みません。再生可能エネルギーを扱う新電力を都民が選択しやすいしくみ、エネルギーの地産地消のしくみを広げるための市民および市民団体との協働などエネルギー大消費地である東京都の役割は大きいと考えます。
市民からの提案、要望を受け、省エネ・再エネ政策が加速することを期待します。