事業期間延長で暮らしへの影響は?事業者は実態把握し対応すべき

東京外環道(関越~東名)は、当初、事業施行期間を2014年3月28日から2021年3月31日として事業認可されました。しかし、事業認可期間に工事が完了しないため、国交省は事業期間を10年間延長したのです。

4月12日に「東京外かく環状道路 本線トンネル工事における掘進の停止について 」、同月28日にその「原因と補修の状況等についてのお知らせ」が発表され、補修の完了まで半年程度かかる見込みが示されました。今回の掘進停止によって全体の工事スケジュールに影響するのか、現段階では明らかになっていません。

新型コロナウイルス感染拡大のなかで、住民の方からどのようにご意見やご要望を伺おうか躊躇していたのですが、今回の接触事故(事業者は現段階ではあくまでも「事象」と表現)が住民の暮らしに与える影響は大きいと考え、大泉ジャンクション周辺を歩き、住民の方からのご意見を聴かせていただきました。

家屋の損傷、補修はいつ?

数年前の工事説明会では「事前に家屋調査を行い、工事によって損傷が発生したら工事完了後に補修・補償する」と説明していたと記憶しています。

残念ながら、東京外環事業に関する説明会資料が記録、公開されていないのですが、インターネットで検索すると「2015.04」と記された「東京外かく環状道路 よくあるご質問」にたどりつき、次の表記を確認することができました。
「工事の施工に起因する建物等の損害が発生した場合は、当該損害に対して補償させていただくため、工事実施前の建物等の状況を把握する調査を行う」

大泉ジャンクションの工事が始まってからこれまでの間に発生した家屋の損傷は、工事期間が10年間延長された今も、工事完了まで待たなければならないのでしょうか?⇒事業者に問い合わせていますが、今のところ明確な回答がありません。
⇒6/7追記 「住民からの問い合わせ、相談があれば適宜対応する」と回答アリ。

「数年前に工事の振動で雨どいが破損したので補修を求めたが、状況を見に来たきりそのままになっている。いつになったら修復してくれるのか」
怒りを抑えながら現状を訴えた方もいます。

すぐ事業者につなぎ対応を求めたところ、事業者の訪問があり今後の対応について話が進んでいると聞きました。しかし、本来であれば住民からの問い合わせがあった時点で迅速に対応すべきです。

事業期間の延長は周知されているのか?

事業用地の間を通る東映通りは、一部、覆工板を仮置きした「橋」のような状態になっています。車両が通るたびにひどい振動と騒音が発生していますが、近くにお住まいの方は「いずれ工事が終わるでしょ?それまでの我慢だから」とおっしゃっていました。工事期間が10年延長したこと、工事終了のめどが立っていないことはご存じなのでしょうか。振動や騒音による心身への影響が心配です。

5月13日、前原交差点の「相談窓口」で状況を伝えましたが、事業者は実態を把握していませんでした。早急な対応を求めましたが、現在「検討中」とのことです。

対応を求めてから約3週間。いまだに状況は変わっていません

事業期間の延長をどのように周知しているのか、国交省東京外かく環状国道事務所に問い合わせたところ「官報に載せた」「調布市のホームページに載っている」と何とも的外れな回答です。
「少なくとも沿線住民には個別に知らせるべきではないか」と指摘しましたが、「改めて担当者から連絡させる」と回答待ちです。
⇒6/7追記 官報と国交省東京外かく環状国道事務所のサイトに掲載する公式の手段で知らせている(のでこれ以上は考えていない)。

調布市の陥没事故が起こる前から認可された事業期間内に工事を終了させることは難しい状況でした。
大幅な事業期間延長の決定以降も大泉ジャンクション内のシールドマシンが地中壁の鋼材に接触し破損、掘進停止など、事業開始前に住民に説明した時と明らかに状況が変わっているのですから、事業者と練馬区は住民への説明とともに暮らしへの影響などの実態把握をおこなうべきです。

開削してシールドマシンを修復するために土留め壁を作る工事をしているのだそうです

シールドマシンが停止している位置近くでクレーン車が作業しているのがわかります