外環道、事業期間延長が決定 

外かく環状道路(関越~東名)の工事は、事業施行期間を2014年3月28日から2021年3月31日として事業認可されました。

2017年2月に世田谷区の東名ジャンクション予定地から、2019年1月に大泉ジャンクション予定地からシールドマシンによる掘削工事が開始されました。しかし、事業者自身が「世界最大級の難工事」と認める、本線トンネルとランプトンネルをつなぐ地中拡幅部の工事についての工法がいまだに決まらないなど、事業期間内に工事が完了しないことは早い段階でわかっていました。
さらに、昨年10月、調布市の住宅街での市道陥没事故発生以降、3か所の地中空洞が発見され、本線トンネルの工事が停止したことで、完成までの見通しが全く不透明になりました。

事業費は、当初の見積もりでは1兆2820億円でした。しかし、昨年の国交省の事業評価で7600億円の増額が見込まれ、総額2兆3600億円と当初見積もりの2倍近くに増大しています。ただし、この金額には、練馬区内に計画されている青梅街道インターチェンジの工事費は算定されておらず、総額いくら必要なのか明確に示されていません。

陥没事故等の原因究明も示されていない2月19日、事業者は事業期間延長を申請しました。
交通対策等特別委員会で延長期間について質疑がありましたが、当該自治体であるにもかかわらず「知らされていない」とのこと。私は事業者の傲慢さを感じました。
そして、事業期間の期限である3月31日、国交省は10年間の事業期間の延長を認可したのです。

事業施行期間 自平成26年3月28至令和13年3月31日(2031年3月31日)
10年間延長されました。

3月19日に第7回東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会が開催され、陥没事項等の再発防止対策などが示されました。記者発表はしたものの、住民への報告・説明、疑問への対応の前に事業期間だけ事務的に進める姿勢に住民の不信は増すばかりです。

本日から、沿線住民への説明会が始まります。
これまでの外環工事の説明会やオープンハウス開催のお知らせは、新聞折込など広く周知していたのに、今回は家屋調査の対象者に限定されたことも問題です。
練馬区内の開催は下記の通り
4月4日(日)14:00~16:00 練馬区立上石神井中学校
4月6日(火)19:00~21:00 練馬区立泉新小学校

記者会見を見た限りでは、原因調査が不十分であると感じました。
陥没事故や地中空洞の発生、住民の健康被害や住宅の家屋損傷などの原因を「特殊な地盤」としていますが、なぜ、事前調査で「特殊な地盤」を発見することができなかったのか。
「適正」に施行する、今後は注意深く工事を行うと言っていること自体、工事が地表及び地盤に損傷を与える恐れがあることを認めているのではないか、と疑念は深まるばかりです。

事故発生、被害住民の地域は、地盤改良のために2年間は工事を停止することになっていますが、再発防止対策が示されたことで他の工事は再開するのではないかと考えています。

「地上には影響しない」とした大深度地下法の前提が崩れたのですから、外環工事は中止すべきです。