いまだに「事象」? 陥没事故でしょ!!

東京外環道本線トンネル上の調布市の地表面陥没について、3月19日の「東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会」で「再発防止策」などが報告されました。審議概要、資料等はこちら

そして、4月2日~7日にようやく沿線住民への説明会が開催されました。

国土交通省、NEXCO東日本、中日本 それぞれの担当者が出席し、終始低姿勢であったが、まともな回答とは受け取れなかった。

約1時間にわたって説明されましたが、
陥没事故発生の原因
は、
陥没や地中空洞が発生した場所が特殊な地盤であるため、シールドマシンのカッターが回転不能になり、特別な作業を行ったために掘削する土砂の量が想定より多くなってしまった。
再発防止策は、
必要に応じてボーリング調査を追加したり、地表面に変化がないか巡回監視を強化など十分に気を付けて工事をおこなうこと(じゃあ、これまではどうだったのか?)。
と言っているとしか受け取れませんでした。

事前調査で「特殊な地盤」を確認し、適切な作業ができずに陥没や地中空洞を発生させたのは施工ミスではないのか、と指摘したところ「ミスではなく課題である」と、とても納得できるような回答ではありません。

説明資料のタイトル「東京外かく環状道路工事現場付近での地表面陥没事象等について」としていることなど、いまだに「事故」と認めずに「事象」という表現を使っていることについての認識を質したところ、「『事故』という表現を使うか検討します」という始末。
(しかも、私の質問には答えず、次の質問者が繰り返してくれたので仕方なく回答した、という失礼な話だ!)

「(陥没等について)ご心配おかけしたこと、不安を与えてしまったことをお詫びする」「しっかりと補償していく」と低姿勢ではあるものの、ほとんどの質問に対して適切な回答ではないと感じました。

練馬区内にも施工される、直径16mの本線トンネルよりはるかに大きい直径30mのトンネルをつくる「地中拡幅部」の工事は、事業開始以前から「世界最大級の難工事」であると事業者自身が説明してきました。陥没事故を起こした事業者に任せられるのか認識を質したところ、「しっかりと取り組んでいく」と回答にもならない状況です。

陥没事故周辺の被害住民(住戸)に対して、地盤補強のために一旦立ち退いた後に再建築する提案が出されるなど、当事者の方々の困惑と心労は尽きません。
しかし、「住宅として住み続けるための地盤補強の方法は複数ある」と専門家は指摘します。更地にする地盤補強は、住民の暮らしのためではなく並走する2本のトンネル工事のためではないか、と疑念を持たざるを得ません。

これ以上の被害を出さないためには、工事の中止しかない。私はそう考えます。