百聞は一見に如かず 映画でコロナ禍の保健所の一端を知る

2020年の年明けの新型コロナウイルス感染症に関する報道からすでに、1年半以上経過しました。
感染症収束に大きな期待が寄せられたワクチン接種事業は、今年4月から始まりましたが、収束の兆しは未だ見えません。

先日、2020年初夏から2021年3月までの約10か月の間、新型コロナウイルス感染症に対応する中野保健所および職員の方々の様子を撮ったドキュメンタリー映画「終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所」の試写会に行ってきました。

PCR検査陽性になった方への丁寧な対応、例えば、当事者の家庭の状況も踏まえて対応を一緒に考える様子や、発病者リストに結核などで以前に関わった方を見つけると訪問して様子を確認するなど、保健所の役割とはいえ細心の注意を払いながら誠心誠意対応する保健師の姿に胸が熱くなりました。

また、鳴りやまない電話や心無い言葉をぶつけられたり、命の選別にもつながるような重責を担い苦悩する姿は、観ている側も苦しくなりました。

練馬区でも、増え続ける感染者への積極的疫学調査をはじめとするさまざまな対応のために、保健師の大幅増員を図りました。担当課長からの聞き取りから、現場では対応に追われかなりのオーバーワークになっていることは伝わっていましたので、練馬保健所でも同様の状況だったと思います。

百聞は一見に如かず。
保健所が新型コロナウイルス感染拡大防止にどのような役割を果たした(している)のか、その一端を知ることができる映画です。

撮影は今年の3月まで。
監督の宮崎信恵さんは、どの段階で撮影を切り上げるか悩んだと言います。
感染症対応の最前線である保健所の奮闘を映画として記録した意義は大きく、世界規模の感染症が明らかにした課題を考えるツールにできるのではないかと考えます。

記録しなければと考えた方々、特に「撮られる」ことを決断した関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

今後、ポレポレ東中野での上映が決まったとのことです。ぜひ、多くの方にご覧になっていただきたいと思います。

宮崎信恵さんのことは、ハンセン病をテーマにした映画「風の舞」の練馬での上映会で知りました。
その後、精神障害の方の活動を撮った「あい」を観る機会を得たり、国会前のデモで偶然隣り合わせになったこともありました。
弱い立場に立つ人の側に立ち、社会の課題を明らかにするための映画を作る姿勢に共感しています。

映画撮影後も感染拡大は広がるばかりで、保健所はますます厳しい対応を求められています。
感染者への対応までに時間がかかり、積極的疫学調査の対象は狭くする方向と聞いています。
感染症対策として、何が必要なのか、行政や政治の役割は何か。
行革として保健所を、医療費削減の視点で病床数を削減してきた状況をどう考えるのか。
命と健康を守る政治を求めていきます。

 

上映後、花束を受け取りあいさつする宮崎監督