工期が不明確な外環道、7600億円増額
区内西部、大泉町の目白通りから青梅街道まで南北に貫く外かく環状道路(関越~東名)(以下、外環)の整備の進捗について、8月26日の交通対策等特別委員会で報告がありました。
公共事業の効率性や実施過程の透明性を図るために、7月30日に国土交通省が開催した「事業評価監視委員会」(令和2年度分 第1回委員会)の資料が示されました。
外環は、1966年に高架方式で都市計画決定されたものの、2007年に地下方式に計画変更、2009(平成21)年に事業化されました。
当初の事業認可期間は、2014年3月28日~2021年3月31日。東京都は、東京オリンピックまでの開通を要望していた経過があります。
東名ジャンクションから北上しているシールドマシンは、スタート地点から3~4㎞を掘進、大泉ジャンクションから発進したシールドマシンは、先行している方でもスタートから約1㎞地点で、全長約16㎞の道路が来年3月までに完成しないのは誰が見てもわかるというものです。
開通時期や見通しについての質疑に対して、区は「事業者である国から詳細が示されていない」と答えるのみでした。
そして、看過できないのが大幅に増大した事業費です。
事業化当初、2兆3,575億円で算定された事業費が、現時点で約7,600億円の増額が見込まれるというのです。そのほとんどが「世界でも類を見ない規模の技術的困難さを伴う、大口径の地中拡幅部」の工事に関わる費用です。
「道路事業における費用対効果分析」の資料では、「走行時間短縮」「走行費用減少」「交通事故減少」以外に、「大気汚染」「騒音」「景観」「道路空間の利用」「災害時の代替路確保」「生活機会・交流機会の拡大」「経済需要創出」「生産力の増加」「雇用・所得の拡大」などなども費用便益として勘案しています。道路整備によって想定される可能性を最大限挙げて、「何としても道路が必要なんだ」と言い訳しているように感じられました。
工期が伸びれば伸びるだけ、さらに費用が増額されることが予想されます。
青梅街道インター計画地での用地買収は3割にも達しておらず、地元住民の理解は得られていません。地中拡幅部の工事も必要であり、さらに事業費の増加が懸念され、強引に進めることは容認できません。
今年度内に事業認可期間の変更(延長)が示されるはずですが、新型コロナウイルス感染症の影響であらゆるところに経済支援が求められている現状において、工期の見通しも立たない道路事業は、税金の使い方として計画変更も視野に入れた検討が必要ではないでしょうか。