「いらんじゃろう!上関原発2020」オンラインを生かして全国から参加

豊かな自然環境で「奇跡の海」として知られる山口県上関町田ノ浦に原子力発電所建設計画が持ち上がって38年目。2011年の東京電力福島原発事故を経験しても、いまだに計画が残っています。

首都圏で上関原発計画に反対する「上関原発どうするの?~瀬戸内の自然を守るために~(略称:上関どうするネット)」は、2009年から毎年、講演会やデモなどを企画してきました。私も2013年からいっしょに活動しています。

今年も5月に計画していたのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で止む無く中止。
毎年の企画には、上関原発予定地の対岸の祝島からゲストを迎えているのですが、人の移動が原因で高齢化が進む祝島にウイルスを持ち込むリスクを懸念したことも中止を決断した理由です。

今年は、祝島で4年に一度開催される「神舞(かんまい)」の年だったのですが、オリンピックと同様こちらも来年に延期。4年前に現地で神舞を体感し、「ぜひ次回も」と楽しみにしていたので、私もとても残念です。

いっこうに感染症収束の兆しがないまま夏を迎え、上関どうするネットでは「このまま何もせずにはいられない」とオンライン開催を決断。9月5日(土)午後、全国から約70名の参加があり、無事開催することができました。

オンライントーク
いらんじゃろう!上関原発~人も自然も生きものも~2020
海上ボーリング調査も海の埋め立てもNO!

「上関原発の問題点と解説」伴英幸さん(原子力資料情報室 共同代表)
・上関原発は、海を埋め立てて建設する世界でも例を見ない原子力発電所
・第5次エネルギー基本計画(2018年)には、新増設は入っていない。にもかかわらず、中国電力は建設準備のボーリング調査を強行しようとした(現地の反対行動と新型コロナの影響で中断中)
・中国電力管内の発電量はすでに電力需要を超えている。新規原発は不要。
中国電力として、現在の安全基準を満たす建設コストをかけてまで、上関原発は必要なのか。

堀田圭介さん(祝島 岩田珈琲店主)
・原発問題は過疎問題。島の未来が見えてくれば解決できると考える
・Iターン、Jターン、Uターンで若い人たちが移住している(島民約300名のうち10~20代が30名)。
・2006年から休校中の祝島小学校が、2021年度から再開されることが決定!

清水敏保さん(上関原発を建てさせない祝島島民の会代表)
現在中断中のボーリング調査が始まると、上関町民同士の分断・対立が再び始まる。
・何とかこのまま上関原発計画廃止になるよう、がんばっていきたい。

小畑太作さん(上関原発用地埋立禁止住民訴訟の会事務局長 宇部市在住)
・上関原発建設のための公有水面埋め立て免許の延長申請の可否判断を先送りして生じた県財産の損失を、不当な財務会計(今回は文書送付の郵送代金)として提訴。一審、一部勝訴。二審、敗訴。現在上告中。
・上関原発問題は、祝島だけの問題ではない。全国各地に同じような「構造問題」を自分事として考えてほしい。

40年近く反対運動に関わってきた島の女性たちは、ビデオレターで参加。
毎週の月曜デモ、埋立阻止のための座り込み、伊方原発見学など、30代で始まった約40年の反対運動の歴史をあらためて感じさせるものでした。
「(伊方原発見学時)原発周辺の海が青すぎる。うちらは漁師だからすぐピンときた。原発は海をダメにする」
原発周辺では、海中の藻などを除去(取水時に巻き込まないように)するため、海水が青すぎる、きれいすぎる、のだそうです。
ほかにも、「これ(原発問題)は重かったよねぇ」「座り込みやカヤック隊の海からの抗議行動、カンパなど、全国からの応援は力になった」「みんながおったけぇ続けてこられた」などなど、深く印象に残りました。
ぜひ、直接お話を伺いたいと思っています。

U、Iターンの若者からは、
先輩たちが40年頑張ってきた運動を若い世代が引き継ぎ、1日でも早く原発のない祝島を実現させたい。
祝島は自然が豊かで海と山のもので暮らしていける。たすけあいのコミュニティが強い。「まちづくりのための原発」といわれるが、それは違う。
ときっぱり。

祝島から、左がIターン、右がUターンの若者。中央は島民の会代表の清水さん。

上関原発撤回に向けて

・産業として再生可能エネルギーをさらにすすめていく
・新基準の原発建設にいくら金がかかるのか、市場競争力はあるのか、明らかにさせていく
・第6次エネルギー基本計画(2021年)に原子力産業の維持を入れさせない⇒「市民が望むエネルギー基本計画とは」を議論する
・全国の原発再稼働に反対する

最後に、祝島の月曜デモに賛同して有志の方が始めたツイッターデモを紹介します。
30年以上続いてきた月曜デモは現在、残念ながら、新型コロナウイルス感染防止のため4月以降中断しているものの、1360回を超えています。
ツイッターのアカウントをお持ちの方は、
#私の月曜デモ
#上関原発おことわり
#祝島
をつけて、毎週月曜日にツイートして、全国から祝島の月曜デモを応援してください。

1日も早い「いらんじゃろう!上関原発」のリアル開催と、1日も早い原発のない社会の実現を願って活動していきます。