危機意識の欠如に呆然~放射線汚染物質が亡失~

新型コロナウイルス感染拡大防止のために、正副委員長判断で開催の可否を決定している練馬区議会。
そのような緊急事態宣言下で、23日に開催された文教児童青少年委員会を傍聴(音声)しました。

報告事項 放射性物質に汚染された芝生養生シートの亡失について

傍聴者用の案件票を見て目を疑い、思わず声が出そうになりました。

2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故によって放射性物質に汚染され、保管されていたはずの芝生養生シートが無くなっていたことが判明した、というものです。

区議会のホームページに公開される委員会資料「芝生養生シートの管理にかかる調査委員会報告書の概要」をご覧いただくと、顛末がわかりやすいと思います。

区立中村小学校で使用していた芝生養生シートのうち3枚が、原発事故によって放出された放射性物質で汚染されたことがわかったのが、2011年11月。放射性物質汚染対処特別措置法に定める基準値を超える放射能濃度(8000ベクレル/㎏)であったため、環境省に指定廃棄物としての指定を申請し、2012年2月以降、練馬庁舎地下1階のPCB汚染保管場所で保管していました。
なぜ、「PCB汚染保管場所」なのかというと、施錠できる場所だから。そこで厳重に保管・管理されなければならないものだったということです。
1枚ずつ折りたたみ、ブルーシートで覆い、ひもで結束。ひとつ約30㎏の重さだったとのことです。

2018年12月の環境省のサンプル採取調査の連絡があるまでの間に、保管してあったはずのブルーシートのかたまり3個がどこかに行ってしまった。

この時点で、議会に報告されるべきではなかったかと考えています。

委員会でも同様の指摘があり、それに対して区は、「説明責任を果たすためにも、シートの所在や健康、環境等への影響を不十分な形で公表するより、しっかりと確認してから報告するほうが良いと考えた」と答えました。

芝生養生シートの管理等に係る調査委員会の報告書

調査委員会の報告は、仮に焼却されていた場合や、どこかに放置されているとしても、一般の人々の健康には影響しないとまとめられていますが、だから良いわけでは決してありません。

2011年当初、「周囲に影響を与える恐れがある」として厳重管理が必要だったにもかかわらず、時間の経過とともに保管の意義が引き継がれていなかったこと、放射性物質に対する区の危機感の欠如に呆然としています。

生活者ネットは、原発事故以降、この芝生養生シートをはじめ、区内の放射線量や汚染土の管理などについて議会で取り上げてきました。そのたびに、「適切に管理しております」と答えてきた経緯がありますが、確かめもせず、口先だけで答えてきたのではないかと疑念を持たざるを得ません。

原発事故から10年目を迎えても終息の見通しが立たない一方で、原発や放射能などへの意識が薄れていないでしょうか。私たち自身も行政も意識するために、議会で繰り返し取り上げていかなければ、とあらためて感じています。