「介護の社会化」のための改定に!
「高齢者の暮らしを社会みんなで支える」(果たして実態は?)介護保険制度は、2000年に開始以来、3年ごとに制度(法律)の見直しがあり、その法改正に基づいて自治体で介護保険事業計画を策定します。
2021年の改正に向けて、国では「制度の持続可能性」を理由に、利用者の負担増と給付費の縮減が議論されてきました。
たとえば、
現在、全額公費負担になっているケアプランの作成を有料化(利用者負担)すること。
利用料負担を所得などに応じて1割から3割まで段階をつける。
要介護認定1,2を「軽度者」と位置づけ、生活(家事など)援助サービスの在り方の見直し。
など、利用者への負担を強いる方向性です。
自己負担分が2割、3割と増える対象の拡大やケアプラン有料化などは、今回の改定では見送られたものの、財源ありきの姿勢は変わりません。
2021年改正のテーマは?
「介護保険の今とこれから」というテーマで、2月26日にNPO法人オフィス・ハスカップ主宰の小竹雅子さんを講師に迎え、区民の方と連携して講習会を開催しました。
今回の改正で小竹さんがもっとも問題だと指摘するのは、改正のテーマの筆頭に「介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)」を挙げていることです。
「介護保険料と同額の税金+利用料」という、まさしく限られた財源から、本来であれば「保健」政策として別の会計で取り組むべき「健康寿命」を介護保険会計に入れ込む、という改正(悪)がおこなわれようとしています。
また、高齢(老)化で暮らしに不安があるから家事援助や身体介護などの給付を受ける(お金を払う)制度から、お金を払わないために「予防の名のもとにサービス(給付)を削る」方向性が示されています。
第8期計画に現場の声を
介護保険料を払っている被保険者は、7640万人。
40~64歳の第2号被保険者のほとんどは、給与から医療保険と一緒に一括徴収されるため「介護保険料を納めている」意識が薄い人も多いのではないでしょうか。
その一方で、第1号被保険者(65歳以上)は、年金から介護保険料が天引きされるため、収納率は100%。練馬区の介護保険料の基準額は77,640円(年間)で、所得に応じた金額が算定されるとはいえ、負担を感じている人は少なくないと思います。
「1か月10円上げたら、7億円増える計算ですよ」と言われると現実的になりませんか?
「お金を払っているんだから、有効に使ってもらうために、私たちも勉強し意見を言っていかなければ!」と小竹さんは参加者を激励しました。
あなたの声を聞かせてください
介護保険ができたのに、家族や施設での高齢者への虐待は後を絶たず、挙句には心中、殺人事件まで起きてしまうのはなぜでしょうか。
「お金(財源)がない」の一言で、介護を担う家族や一人暮らしの人を追い詰めるのはもうやめましょう。
私たちが求めてきたのは、高齢になった時に本当に安心できる制度です。
区は、今年度約1年かけて2021年度から施行する第8期の介護保険事業計画を策定します。2021年の介護保険の改定に、あなたの声を聞かせてください。