保健福祉委員会視察報告

10月24日、25日、保健福祉委員会の視察で北海道当別町と千歳市を訪問しました。

北海道当別町の共生型福祉
~共生型コミュニティ農園「ぺこぺこのはたけ」~

当別町は、2007年に策定された「第1次当別町地域福祉計画」に掲げられた「地域福祉ターミナル構想」、「当別町障がい福祉基本計画」の「地域福祉ネットワークの形成」に基づき、あらゆる福祉情報の集積及び障がいのある方・高齢の方・子どもに対する一体的サービス事業の拠点整備に着手したとのことです。
計画の策定に当たって、同町にある北海道医療大学と連携したことで「共生型」の考えが生まれてきたそうです。

国が「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現」を示す以前から共生型福祉に取り組んでいると説明を受けました。

視察先の「当別町共生型コミュニティ農園『ぺこぺこのはたけ』」を運営する「社会福祉法人ゆうゆう」は北海道医療大学のOBが立ち上げた法人です。その前身は、同大学のボランティアセンター(大学サークル)とのこと。
同法人は、ぺこぺこのはたけの他、ヘルパーステーションやグループホーム、放課後等デイサービス、地域包括支援センターなど様々な事業を展開しています。
品川区でも2か所の事業所を運営しています。

「ぺこぺこのはたけ」は、障害者総合支援法に基づく障がい者就労支援の拠点(障がい者就労継続支援B型事業所)で、障がいのある方8名と支えるスタッフ5名で運営しています。
素材の野菜は事業所内で収穫したものも含め、すべて当別町産です。

お野菜をふんだんに使ったメニューは、どれも素材の味を生かされていてとても美味。彩もきれいです。

この法人でも福祉人材不足の悩みを抱えていて、法人や福祉職の魅力を伝えながら、時には求人活動のために上京することもあるそうです。

千歳市の認知症施策
~「頑張らない」推進活動について~

2日目の千歳市では、認知症地域推進員の活動について伺いました。

2016年4月、認知症地域支援推進員を2名配置しています。ひとりは、地域包括支援センターに社会福祉士を、もう一人は認知症疾患医療センターに精神保健福祉士です。
認知症地域支援推進員が市内の介護予防センターや在宅医療介護連携センター、市内で活動する介護予防サロンや家族会などの地域資源のリーダーと協力して、地域における見守り体制を推進するなど、認知症高齢者にやさしいまちづくりに取り組んでいます。
また、生活圏域である隣の恵庭市と合同で映画の上映会などの啓発イベントなども実施しています。

認知症地域支援推進員は、住民主体の活動になるように調整役になること。認知症地域支援推進員とは、認知症の人が地域で暮らすための支援体制を作る後押し(推進)をする職と考えているそうです。

気になったのは、「施策が方向転換した時も市民の活動は残る」という発言。それは、すなわち、「国や自治体の認知症施策(=財源)が変わっても、地域住民で何とかする体制を作っておく」ということなのかな、と。

視察前の情報では、人口の25%が自衛隊関係者という同市の独自の認知症啓発事業として、自衛隊向けの認知症サポーター養成講座の開催に取り組んでいるとのことでした。しかし、業務多忙を理由に、陸上自衛隊、航空自衛隊それぞれで1回の開催に止まっているとのことです。

練馬区では、25か所の地域包括支援センターそれぞれに1名の推進員が配置されています。担当地域の相談を受けることが主な業務と聞いていますが、認知症と共に暮らす地域の実現にどのように取り組んでいるのか、調べていきたいと思っています。