香害は公害 成分表示の義務付けを関係省庁に要望
私たちは、さまざまな化学物質に囲まれて暮らしています。
洗剤や洗濯柔軟剤などに使われる香料、消臭・除菌剤などの成分による頭痛や吐き気、めまいなどの健康被害を訴えを受け、私たちも議会質問などで取り上げ改善を求めてきました。
最近になってようやく大手メディアでも取り上げられるようになり、以前に比べると「香害」が知られるようになったのではないかと感じています。
また、化学物質過敏症や香りの害などについて、リーフレット作成やホームページなどで啓発する自治体も増えてきています。(練馬区のホームページ リーフレット)
しかし、香りの害や化学物質による健康被害を訴える相談は後を絶ちません。
スーパーマーケットに陳列され、毎日のようにTVコマーシャルが流されていれば、それが健康を害するとは考えにくいのは仕方がないことかもしれません。
家族のためになるべく体に良いものを選びたいと思っていても、日本では現在、柔軟仕上げ剤などの成分表示が義務付けされておらず、メーカーの自主表示に任せられています。
生活者ネットワークは、香害や日用品の化学物質の問題は啓発だけではなく、法的な規制が必要であると考えています。
7月30日、国の関係省庁に
・柔軟仕上げ剤、消臭剤等を「家庭用品品質表示法」の指定品目にする
・香料の成分表示を義務付ける
要望書を提出し、考えを聞いてきました。
出席した関係課は、消費者庁、厚生労働省、経済産業省、環境省、文部科学省。
担当者も、香料などによって健康被害を訴え、苦しんでいる人がいることは認識しているとのこと。
成分開示の要望に対しては、「石鹸洗剤工業会が自主的に製品成分表示、香料成分表示に取り組んだことは大きな前進だ」と答えました。しかし、この開示というのが、インターネットで調べなければならず、しかも英文表記で消費者にとって「何の役にも立たない」といっても過言ではないと憤りさえ感じました。
健康被害の実態が分かっているのであれば、国民の命を守る視点で省庁を超えて原因物質との因果関係を解明してほしいと思います。企業任せ、企業優先とも感じられる国の姿勢は、公害の歴史から何も学んでいないのではないか、と疑問を持ちました。
香り成分などが原因で化学物質過敏症を発症した方によると、洗剤や洗濯柔軟剤など何の疑問も違和感もなく使用し続けていて、ある日突然「気分が悪くなる」「呼吸困難に陥る」「突然意識を失う」などの症状が現れたという事例が少なくありません。予防原則に基づいた取り組みが必要です。
また、自分が気を付けていても周囲の人が使っていると避けることが難しいのが「香害問題」なのです。
今後も、理解ある国会議員や消費者団体とも連携して、身の回りの化学物質の成分表示義務や、規制を働きかけていきます。