生活課題に向き合い 福祉・環境施策を優先に!~2022年度決算に反対~

第三回定例会で審議した練馬区2022年度決算。
生活者ネットワークは決算認定に反対し、本会議最終日に反対討論をおこないました。以下、反対討論文を掲載します。ご意見をお寄せください。


生活者ネットワークを代表して、議案第69号2022年度練馬区一般会計、議案第70号国民健康保険、議案第71号介護保険および議案第72号後期高齢者医療会計の決算認定に反対の立場から、討論をおこないます。

2022年度予算編成に当たって区長は、区民とともにコロナ禍を乗り越えることを掲げ、「施策の優先順位を見極め、不要不急の歳出を削減し、限りある財源を効果的・効率的に活用していかなければならない」と述べていました。
予算質疑の真っ最中にロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。エネルギー価格や穀物などの原材料価格は、2021年以降、コロナ禍による物流の混乱や経済活動の再開による需要の回復などから上がり始めていましたが、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、さらに上昇。これに加えて、円安が進んだことで輸入コストも増加し、あらゆる物価が高騰しました。多くの区民の家計に影響を与え、生活を圧迫しています。食費を切り詰めるためにフードバンクや子ども食堂など、ボランティア団体の支援を頼りにしている人々がまったく減っていない状況です。

区長は美術館の再整備に関して「福祉医療か、文化か、二者択一を迫ること自体が間違い。両方とも必要」と述べています。私もまったく同感です。身近なところに区立の美術館があり、気軽に芸術に触れられる環境を整備することはとても大事だと思います。しかし、いま、改築を推し進める時なのでしょうか。区は、美術館の改築には基金の取り崩しや起債を活用し、福祉に充てる財源を減らすわけではないといいますが、生活困窮や教育、こども、高齢・障害者の福祉サービスの充実を求める区民にとって、なかなか納得できるものではありません。改築に係る費用として約80億円の金額が示されましたが、建築費高騰が続く中、それでは納まらないことが懸念されます。不要不急の歳出の削減というのであれば、一旦立ち止まるべきです。

区立谷原保育園の閉園計画では、保護者が求めた説明会を開催しないまま、新年度を迎えなし崩し的にすすめられています。働くために子どもの預け先を確保しなければならない保護者の多くは、区の進め方に違和感を持っていても目の前の問題に対処せざるを得ないのではないでしょうか。区民とともにと言いながら、区長の考える区民は、区の計画に賛成する区民であり、区の計画に疑問や反対の声を上げる区民の声に耳を傾けず、置き去りにしていく姿勢は問題です。

住民合意のない公園や道路整備、再開発事業などの都市計画についても見直しを求めます。すでに人口減少社会であるにもかかわらず、半世紀以上前の都市計画をそのまま進めて良いのでしょうか。特に、東京外環道は、事業実施区間において道路の舗装の損傷を道路管理者である狛江市に報告もないまま補修するという、不適切な行為が明らかになり、沿線住民の不安・不信は募るばかりです。公共工事の名の下に住民の暮らしを犠牲にすることを容認できません。

コロナ禍は、以前から問題だった非正規雇用の増大や男女の賃金格差などによる格差拡大、根強く残る「性別役割分業」意識のもとでの生きづらい女性の現状など、より弱い立場の人が影響を受けました。経済が回復してきたといわれる一方で、コロナ禍をきっかけに減収や失業し、生活困窮に陥った人々の中には、いまだに元の生活に戻れない区民が少なくありません。

国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療制度は、上がり続ける保険料や負担割合の増加が、低所得者や若者、単身女性、年金生活の高齢者の暮らしを圧迫しています。税金の投入割合を増やすなど抜本的な改革を国に求めるべきです。

住民に身近な自治体は、困っている区民にこそ真摯に向き合い、より丁寧に対応することが求められています。「困っている人を放っておかない」区政を求めて、反対討論を終わります。