どうなる⁉介護保険

次期介護保険改定に向けて厚労省での議論が開始

2024年度の介護保険制度改正に向けて、社会保障審議会と介護保険部会での「負担と給付を見直す」本格的な議論が始まりました。厚生労働省は年末までに結論をまとめ、来年の通常国会への改正法案提出をめざすとのことです。

「給付と負担」 見直しの主な論点

保険料を払う対象を40歳未満にも拡大
⇒ 保険料を納める期間がより長くなる(長年、納め続けた末に給付されるのか心配)
サービスの利用者負担を原則1割から2割に引き上げ。2割負担の対象者の拡大
⇒ 実質、利用料が2倍になるということ
ケアプラン(介護サービスの計画)の有料化
⇒ 現在は無償。利用者の負担増でケアマネジャーへの相談をためらうことにならないか懸念
要介護1,2認定者が利用する訪問介護や通所介護を介護保険から切り離す
⇒自治体の日常生活・総合支援事業への移行は、地域によって基準や単価が違うなど大問題
⇒ 現在、日常生活・総合支援事業の対象となっている要支援、1,2認定者はボランティア頼みに?
介護老人保健施設などの多床室の室料を保険から外し、全額自己負担に

現場から制度の充実を訴えて

財務省の財政制度等審議会は、今年5月に「歴史の転換点における財政運営」をとりまとめ、要介護1・2を「軽度者」と定義し、この「軽度者」の訪問介護・通所介護を、現在の市町村事業の総合事業へ移行すべきとの方向性を打ち出しました。(これを受けて、冒頭の厚労省の議論が始まっている)

私たち生活者ネットワークと同じ母体から生まれた福祉系事業所の協議体が、これを受けて、今年8月、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に関する自治体調査を実施しました。

調査内容は下記の通り
①2017年に始まった要支援者等の多様な生活支援ニーズに対応する総合事業の取り組み状況。
②2024年度の介護保険制度改正の動向を踏まえて、要介護1・2の軽度者の総合事業への移行に関し、どのように計画立案または対策を講じているか。

そして、区内の介護事業者とともに8月末に、区の調査結果などについて担当の高齢社会対策課長との意見交換の場を設定しました。

②については、その時点で厚労省の動きがない中で、区として具体的なことは取り組んでいない(取り組めない)。厚労省の議論がすすみ、方向性が示されたら考える。
しかし、単純に要介護1・2認定者が総合事業に移行するのは大変なことだと考えている、厚労省の動向を注視する。とのことでした。

財源不足を理由に給付を減らすような制度改正は、利用者(および家族)はもちろん、在宅介護を支える地域に根差した介護事業者に与える影響は計り知れません。

要介護1・2認定者は決して「軽度者」ではありませんし、すでに総合事業の対象となっている要支援1・2認定者も資格を持つ専門の介護職の適切な支援が必要です。

区は保険者として、現場の実態を伝え制度が後退しないよう国に意見をあげてほしいと考えます。
さらに、住民福祉の充実のための予算措置を強く国に求めるべきです。

区内で協同労働で介護事業を運営する複数の事業者とともに高齢社会対策課長と意見交換。

今年3月「在宅介護を後退させない‼️」院内集会に参加