国保の医療費通知、被保険者へ個別送付を要望 決算質疑より

加入している健康保険から送付される「医療費通知」を意識したことがありますか?

練馬区が保険者である国民健康保険(以下、国保)では、通院や調剤などの利用があれば1年に2回、世帯主宛に送付されています。
2021年度の医療費通知の郵送料は1,077万6914円。

医療費通知の目的は、
1.健康や医療に対する認識を深める(健康状態の確認、記録)
2.医療費の確認(医療費の増加抑制のため)
3.医療費請求の確認(医療機関等からの請求に誤りがないか)

私自身は、議員になって初めて国保に加入したのですが、国保料の通知や医療費通知など国保に関連する送付物が国保に加入していない夫宛に届くことに大変違和感を覚えながら数年過ごしてきました。数年前に担当課長に理由を尋ねたこともありましたが「国民健康保険は、世帯単位を基本としている。法律で決められているからご理解いただきたい。」の一点張りで、これは改善を求めるのは難しいのだろうなと感じてきました。

しかし、医療費通知は通院履歴もわかるデリケートな個人情報であり、家族であっても知られたくないというケースもあると思います。現に、私のところには相談というか苦情というか、私と同じように考え、改善を要望する声が届いているため、決算質疑で取り上げました。

練馬の国保加入者は約139,000人、約99,000世帯。このうち、世帯主が国保以外の健康保険に加入している世帯は19,000世帯。
約2割ですから、決して少ないわけではないのだなと思います。

国保における世帯主を変更できる⁉

世帯主が国保以外の健康保険に加入している世帯を擬制世帯、その世帯主を擬制世帯主と言うそうです。

2001年に厚労省は「国民健康保険における『世帯主』の取り扱いについて」という通知を出しています。
擬制世帯において世帯主の変更を希望する場合(※条件や留意点がある)、従来の国民健康保険法上の世帯主の取り扱いを変更し、当該擬制世帯に属する国保の被保険者を国保における世帯主にすることができる、つまり、「国保加入者(複数いればそのうちの誰か)を国保における世帯主に変更できる」という内容です。
※保険料を完納している、変更しても運営上支障がないなど

ところが、区内で申請しているのはわずか1件。
これは、この制度が知られていないからではないでしょうか(現に私は知りませんでした)。この手続きをすることで、一定程度の被保険者に国保に関する通知が直接届くことになると考えます。
自治体のホームページ上で「擬制世帯」や「(国保の)世帯主の変更」についてお知らせしているところが複数あります。練馬でも周知してほしいと要望しました。

世帯主を変更しても医療費通知は加入者分まとめて届く

擬制世帯の世帯主変更の手続きをしても、医療費通知は世帯主宛に一括して送付されますので、この手続きだけで医療費通知が被保険者ごとに届くわけではありません。

医療機関や診療の記録は、重大な個人情報です。
たとえば、精神的につらくて心療内科を受診しているなど、家族であっても(家族だからこそ)知られたくないと考える人がいても不思議ではないと考えます。
また、健康や医療に対する認識を深めたり、医療費抑制を目的とするなら、少なくとも成人している被保険者には、本人に届くしくみの検討が必要ではないでしょうか。

社会状況の変化に応じて制度の見直しを

働く女性が増え、年収が130万円を超えると配偶者の扶養を外れて自分で健康保険と年金に加入する義務があるので、夫が社会保険、妻が国保という世帯は少なくありません。社会状況が変化しているのですから、従来のしくみを見直す必要があると考えます。

世帯ごとにまとめて送付している医療費通知を被保険者別に送付すれば、それだけ通信費が増額することになるし、それが保険料に反映されることになるのであれば単純な問題ではないと考えます。国保の制度の問題ではありますが、保険者としてできる対応を検討してほしいと思います。

本庁舎と西庁舎をつなぐ屋上から見る空の風景が議会中の緊張を和らげてくれます。

これから富士山がきれいに見える季節を迎えます。