教育現場での包括的性教育を
「子どもから性に関する質問を受けたらどのように対応すればよいの?」
「学校で性に関する教育をしてほしい」
このような相談は少なくありません。
そこで、区内の麻の実助産所の助産師 土屋麻由美さんを講師に迎え、保護者を対象にした性教育「子どもへの伝え方~こころとからだのはなし~」を開催しました。
土屋さんは、NPO法人ピッコラーレの理事も務めています。
ピッコラーレは
「にんしん」をきっかけに、誰もが孤立することなく、自由に幸せに生きることができる社会』の実現に向けて、啓発や相談事業、居場所づくりに取り組んでいます。
性に関する子どもをとりまく環境は、大人の想像以上
・インターネット・漫画・雑誌・DVD・テレビなどの性情報は子どもたちのすぐそばにある。(「りぼん」や「なかよし」などの少女漫画の内容は親の時代とは内容が様変わりしているのだとか)
・学校での性教育はあまり進んでおらず、正確な知識を学んだり、問題への対処方法を学ぶ機会が少ない。
・SNSにおける被害児童は増加している。
・スマホやタブレットなどの利用が増え、気軽に他人に写真を送ったり動画をアップすることに対するハードルが低い
子どもの頃から性について考えたり話すこと
・自分の体を大切にすることを考えるきっかけになる
・他人や友達のことも大切にできるようになる
・自分の存在を肯定できるようになる
・性被害にあいにくくなる 加害者にもなりにくくなる
・性被害とはどういうものなのか、誰かに相談しても良いのか、イヤだと言ってよいのか⇒教えられないとわからない
性の健康教育はいつから?
・生まれた時から性と生の教育は始まっている
・発達や興味にあわせて話すのがいちばん⇒聞かれた時がタイミング
・教えるのは一度だけじゃない 普段から何度でも
・話せなければ、読んでほしい本をプレゼント(親も読んでおくと良い)
・学校ではどのような授業が行われているのか、親も興味を持つことが必要
中学生になる前に知っておいた方が良いこと
・からだをきれいにすること
・男の子と女の子の身体の違い 性の自己決定 性の多様性
・性器の洗い方
・自分の性器を触ること(マスターベーション)
・プライベートゾーン
・人が嫌がることはしない、相手の気持ちを確認する
・月経と精通
・受精・性交について
・おなかにいたときのこと、生まれること
・人を好きになること(異性愛・同性愛・両性愛)
・自分を守る 安心・自身・自由
子どもに性に関する質問受けたら?
・教えるだけでなく、子どもに考えさせたり、自分の考えを話させることが必要
・子どもが聞いてきたときには、その言葉をどこまで知っているのか、どんなことがわからないのかを聞いてい見る
・親の勝手な思いで子どもが聞きたいと思わない時に話しても、聞いていなかったりする
<子どもに性を伝える時の3大原則>
①噓をつかない②ごまかさない・はぐらかさない③否定しない
参加者の質問から
「中学生男子に性の話をしたいのだが、どうすれば・・・?」という質問に対して
一緒にドラマを見ながら、子どもたちに配布されたタブレットに絡めて、
など、具体的な会話の糸口を教えていただきました。
区の現状は?
海外では、ユネスコの国際セクシャリティ教育ガイダンスに基づく、性の多様性やジェンダー平等なども含め人権尊重を基軸に据えた「包括的性教育」に何時間もかけて取り組んでいるのが当たり前になっています。
助産師会として、教育委員会に対して度々、性教育の必要性と取り組み状況を確認しているとのことですが、「学校の判断」とか「保護者の同意が必要」、「予算が無くて・・・」、最近では新型コロナ感染症対応で「それどころではない」といった感じだとのことです。
私たちも議会質問で何度となく取り上げています。
直近の昨年の12月議会の一般質問の答弁は次の通りでした。
「学習指導要領に基づき、保健分野の学習を中心として、子どもたちが性に関する正しい知識を身につけ、適切な意思決定や行動選択ができるよう、発達段階に応じた指導を行っています。性行為や避妊などの学習指導要領に示されていない内容を扱うことは、児童・生徒の身体的、精神的発達や、それぞれが持っている性に関する知識の個人差に十分配慮すべきであり、全ての学校が一律に実施するものではありません。校長の判断により実施する学校には、平成31年3月に東京都教育委員会が配付した「性教育の手引」に基づき、児童・生徒の実態を十分踏まえ、保護者に丁寧な説明をした上で、理解・了解を得て実施するなどの慎重な対応を促しています」
しかし、子どもたちを守る視点で、等しく教育を受ける権利が保障されるべきです。
教育の時間の確保と共に、外部講師派遣に関する予算の確保が必要であることを再認識しました。
助産師会やNPO団体と連携した包括的性教育の実施を求めていきます。