生活保護は生きる保障、制度の周知を要望

新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の停滞は、不安定雇用を余儀なくされている人たちの命に関わる問題になっています。

ネットカフェの営業自粛によって宿泊場所を失ったり、派遣の契約打ち切りと同時に退寮を迫られるなど、コロナ禍で仕事と共に住まいも失うケースが急増しています。
私たちのところにも、「ネットカフェや路上で生活していたが、とうとう所持金が底をつき、どうすることもできなくなった」と、ギリギリの状態での相談が寄せられています。

首都圏のある都市で、寮がある派遣契約の仕事をしてきた30代後半の男性。
5月の契約更新を機に派遣切りに合い仕事と同時に住まいも失ってしまったとのことです。
ご両親とは死別し、頼れる親族もいない。
住民登録は職場の寮だが、ひとり10万円の特別定額給付金の申請書が届く前に退去させられてしまったので手続きもできない状況です。

このような状況の人は案外多いことを支援団体の方に伺いました。

区は、相談窓口の設置や特別定額給付金をはじめ、住宅確保給付金、応急小口資金などの個人向け支援策、持続化給付金や貸付制度拡充など中小事業者支援策などをホームページや区報でお知らせしています。
4月27日に設置した生活相談のコールセンターの相談数は4,826件。1日当たり146件(6/9現在)。
区への相談の状況を確認すると、「まずは、貸付などでしのぎ、生活保護までは・・・と申請をためらう傾向と感じている」とのことです。
その背景には、生活保護に対する偏見があるのではないかと懸念します。

6月11日の保健福祉委員会では、生きる保障として「生活保護」という制度があるということを、他の支援策と同じように広く知らせるべき、と要望しました。

また、生活保護を申請した時点で住まいが無い場合、行政は「自立支援センターか無料低額宿泊所を紹介することが基本だ」と説明します。
しかし、感染症拡大防止の視点から考えると個室で過ごすことが望ましいのです。新規の申請者もちろんですが、現在そのような施設の利用者にも個室に移るなどの対応が求められていますが、現実はきびしく、マスクや消毒剤を設置して感染防止の注意喚起にとどまる施設もあるようです。

前述の仕事と住まいを同時に失った相談者については、支援団体と連携しながら生活の基盤を作るところからサポートしたいと考えています。