交通対策等特別委員会視察報告
11月27日から始まった第4回定例会の一般質問づくりや、加入している生協のクリスマス・お正月企画で区政や議会のことを報告しているうちにあっという間に11月が終わり、今年も残り1か月を切りました。
11月13日~14日に、交通対策等特別委員会の視察で宮城県栗原市と仙台市を訪問しました。
乗り合いデマンド交通(宮城県栗原市)
乗り合いデマンド交通は、事前に予約した利用者の自宅から地区内の拠点まで運行する公共交通です。使用する車両は5人乗りのセダンまたは10人乗りのワゴン車です。同じ便に複数の予約がある場合は、利用者の自宅を経由して地区内の拠点に向かうので、予約状況によっては到着時間が不規則になるというデメリットも生じ、時間の余裕を持つ必要があります。
栗原市の市民バスは、定時路線で運行していましたが、利用者の減少や自家用車を持たない高齢者への対策(停留所まで行くのが大変など)、市の財政負担の軽減などの課題が生じました。この課題を解決するため、2018年度に栗原市地域公共交通再編実施計画を策定しました。
この計画では、市内のバス路線を下記の3つに分類し、それぞれの路線が有機的に連携するバス路線の実現をめざしているとのことです。
①広域:栗原市と市街を結ぶ基幹路線
②市内連携:市内各地の交通結節点を連携する基幹路線
③地域内:地域内の運行
市内を16地区に分け、1地域に約10か所の拠点が設けられているようです。タクシー会社など8社1法人が運航しています。
乗り合いデマンド交通を利用するためには、個人単位の登録が必要です。再編から半年経過した、今年9月の登録率は人口の2.5%で、当初の見込みよりも低いとのことです。登録者の約3割は、2005年から導入していた一迫(いちはさま)地区で、他の地域より利用が定着していることがわかります。高齢者ドライバーの免許返納の動機づけとして利用料の割引など実施しているか質問しましたが、市内施設の割引はあるがデマンド交通の利用料には反映していないとのことでした。
練馬でも、バス停まで遠い、みどりバスの本数が少ないなど共通する公共交通の課題があります。福祉的な視点での検討も必要だと思います。
地下鉄整備による効果と沿線まちづくり(仙台市)
仙台市では、住宅開発等による市街地が拡大してきましたが、人口減少・少子高齢社会の到来を見据えて、過度に自動車に依存せず、鉄道を基軸とするコンパクトなまちづくりの方針へと転換したとのことです。2010年に「せんだい都市交通プラン」を策定し、地下鉄東西線の整備を位置付け、2015年12月に開業しました。
交通対策等特別委員会の設置目的に「都営地下鉄大江戸線の延伸および沿線まちづくりについての調査研究」があるため、2014年にも委員会視察で仙台市の地下鉄を視察しています。
あれから5年経過し、中心部は東西南北にアーケード街が整備されていました。
地下鉄の整備に伴い、バス路線の再編や利用しやすい運賃の設定などに取り組んでいます。また、東西線沿線には複数の大学があるため、大学生協や在学生と協力して作成した「交通情報ツール」を新入学生に配布するなど、学生生活に公共交通を利用する生活スタイルを定着させる工夫をしています。
仙台市は企業も多く、転入者も多いので、新しい生活の始まりをきっかけに公共交通の利用を考えられるように「公共交通利用促進グッズ」を作成し、2008年度から転入届手続き時に配布しているそうです。ちなみに、2018年度は23,000部作製したとのことです。
西の発着駅である「八木山動物公園駅」では、町内会役員などで構成する研究会を立ち上げ、駅前広場などの駅周辺整備を検討し反映したとのことです。
今回の視察は、室内での説明だけで現地視察ができなかったのが残念でした。
今後、大江戸線延伸やそれに伴うまちづくりにどのように生かしていくのか、注視していきます。
以下、2014年の視察の写真です。