介護保険料決定は、区民の理解を得る努力を
2018年度からの介護保険制度の改定によって、練馬区の介護保険料が示されました。
第7期(2018~2020)の基準額は77,640円で、今期と比較して11.1%増となる計画です。
※被保険者各々の介護保険料は、基準額をもとに所得に応じた負担となるよう調整して算定されます。
2000年にスタートした介護保険制度は、措置から給付に変わることで権利として介護サービスを利用する環境をつくり、家族介護から「介護の社会化」の実現をめざしたものでした。しかし、超高齢社会が進むなかで財政負担が増し、制度の持続可能性のために、保険料の負担増と給付縮減の方向性になっています。
区内の第1号被保険者数(65歳以上の方)は約16万人、第2号被保険者(40~64歳の方)は約25万人。約41万人が保険料を支払っています。区では、給付を基準にカウントするため介護保険の利用者数を正確に把握するのは難しいとのことです。一般的には、高齢者の約20%、被保険者総数では約8%が利用している制度と言われています。
月々の介護保険料を納めるだけの未利用者にとって、介護保険改定についての関心は、どうしても直接的な影響がある介護保険料に目が向きがちです。練馬区の2015年度から2017年度までの、3年間の介護保険料の基準額69,900円をどれだけの区民が意識し、何を根拠に基準額が定められているか、保険料を負担している区民のうちどれくらいの方が理解し納得しているでしょうか。利用率が低いからこそ、利用者家族も含めた被保険者である区民の「介護のリスク」を受けとめるものでなければ、介護保険制度への信用や信頼が揺らぎ、将来への不安が増すばかりです。
介護保険制度は、地方分権の試金石ともいわれ、住民の生活を維持していくために必要な給付と負担を区市町村自らが構想できる仕組みだったはずです。安心して暮らすための社会保障のあり方、必要な事業、サービスとそれに対する負担、保険料について住民と話し合い決めていくことが必要です。その機会であるはずだった、区が主催した説明会は、4回のうち3回が夜間の開催で、寒さ厳しい季節と相まって参加者が少数だったのは残念です。
さらに、被保険者にとって最も関心のある保険料について、説明会で使用した資料には記載がなく会場からの質問がなければ説明がなかったことは問題だと感じました。
今後、高齢者人口が増え、自ずと介護保険を利用する人も増えること。特別養護老人ホームなどの待機者数があるため施設整備が必要であること。介護予防や認知症対応の事業を拡充することなどを説明しても、それが区民が負担する介護保険料に金額としてどの程度影響するのかを明らかにしなければ、他人事になってしまうのではないでしょうか。
説明会が開催された1月の段階では、国が決める介護報酬などが決定していなかったため具体的な数字を示すことはできなかった、と区は言っています。
しかし、保険料収入、区の一般財源からの繰り入れと介護保険給付準備基金の取り崩しなど、今期の保険料算定の過程を示して、高齢者人口の増加、施設整備・在宅介護・介護予防・認知症対応などの事業の拡充、保険料との関連を区民にわかりやすく説明する工夫はできたはずです。
今後も、住み慣れた地域が住み続けたい地域となるよう、利用者と家族を支援する地域包括ケアのしくみを充実させることと、そのための情報公開と住民とのていねいな話し合いを求めていきます。
また、超高齢社会が進むなか、今の制度のままでは保険料負担が増え続ける一方です。税金と保険料の負担割合を見直す、さらには多額の軍事費を削り福祉予算を増額するなど、抜本的な見直しを国に求めるよう、区にはたらきかけていきます。