エネルギーシフトで脱原発へ
昨年4月から始まった電力の小売り全面自由化で、家庭でも電力会社を選べるようになって約1年。ところが、実際に電力会社を変更したのはまだ数%だそうです。電力の自由化で、多数の新規参入がありますが、どうしても価格重視の競争になりがちです。安さばかりが求められると、大気汚染物質を排出する石炭火力発電を推進することになりかねません。
4月30日、国際環境NGO「FoEJapan」の吉田明子さんを講師に迎えた、エネルギーシフト学習会に参加しました。「FoEJapan」は、世界75か国に200万人のサポーターを有する国際的な環境団体のネットワーク「Friends of the Earth International」の日本メンバーとして、1980年に設立されました。気候変動、エネルギー、森林、開発金融、廃棄物等の環境問題に、グローバルな視野と草の根からの行動で、持続可能な社会をめざして活動を展開しています。
東京電力福島原発の事故後、私たちがおこなったアンケート結果を見ても、原発による電気は使いたくない、自然エネルギーを使いたいと考える人が増えました。ところが、電力会社を選べるようになったものの、いまだに電源構成の開示は義務化されていません。「とにかく、東京電力から切り替えたい」と思って契約しても、CO2排出係数が高い石炭火力発電だった、ということになりかねません。
2015年12月、フランスで開かれた国際会議COP21で、世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることをめざす「パリ協定」が合意されました。日本は「2030年までに2013年比で温室効果ガスを26%(1990年比で18%)削減」という目標を掲げています。一方、原発事故後、45基の新規石炭火力発電の建設が計画されていて、設備容量2080万kWは、原発約20基分です。これらがすべて建設されれば、2030年のエネルギーミックスでの目標値(石炭の割合26%)を上回るだけではなく、COP21・パリ協定の合意にも逆行しています。
世界の自然エネルギー市場は、この10年間で急成長をとげています。たとえば、太陽光発電は2016年度末で、10年間の発電量が約50倍に急増しています。一方、世界の原子力発電の累計導入量は中国などアジア以外ではほとんど増加していません。パリ協定の温室効果ガス削減目標のために、自然エネルギーの割合を抑え込み、原子力発電を増やしていくという日本のエネルギー政策は、自然エネルギー50%に向けて議論し始めているEU諸国とは逆の立場です。
東京電力福島第一原発事故で、私たちは人間の力ではコントロールできない核の危険性に気付いたはずでした。それなのに、なぜ日本は原発をやめられないのでしょう。いまだに新規建設が計画中の山口県上関原発。今年も、上関原発計画の白紙撤回を拡げるためのイベントが開催されます。なぜ、原発をやめられないのか、どうすれば原発をやめられるのか、大勢のみなさんとともに考えたいと思います。
いらんじゃろう!上関原発2017~人も自然もいきものも~
ゲスト:池内了さん(名古屋大学及び総合研究大学院大学名誉教授)、氏本長一さん(山口県祝島「氏本農園」代表、一般社団法人「祝島千年の島づくり基金」理事)
日 時:5月20日(土)13:00~16:00(会場12:30)終了後パレードに出発
会 場:東京ウィメンズプラザ(渋谷区神宮前5-53-67)
参加費:1,000円 高校生以下無料 ※予約優先
ご予約方法:
(1) FAX 03-3357-3801
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