子どもの社会参加で地域を活性化する~石巻市子どもセンター視察~
石巻市子どもセンターで育った子どもたちがおとなになった時、次世代の子どもたちの声に耳を傾け、「子どもの権利」が当たり前のこととして守られる地域になるのではないでしょうか。東日本大震災後、子どもの権利条例を活かした「こどもの居場所づくり」に取り組んだ石巻市に行ってきました。
石巻市は、子どもの権利条約を基に制定した「石巻市子どもの権利に関する条例」を2009年3月26日に施行し、シンポジウムを開催するなどおとなの理解を広げる活動をしていました。そんな中での、東日本大震災、被災住家76.6%、災害ガレキは約428万トン。仮設住宅や仮設校舎の建設により、公園や学校の校庭等、今までの居場所がなくなったことは、ゲームなどで家の中で過ごすことが多くひきこもりになったり、中高生が夜、友達と集まりストレス等から大騒ぎしてしまうなど、子どもたちに大きな影響を与えました。
国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが震災後、5か所の被災地域の小学生4年から高校生1万人以上を対象にしたアンケートを行い、多くの被災した子どもたちが、「まちのために進んで復興活動に参加したい」と考えていることがわかりました。子どもたちの声を受けて、このNGOと石巻市の協働で「石巻市まちづくりクラブ」が設立されました。
〇子どもの社会参加の拠点
7月のスタート時点では2名だった子どもメンバーは、現在市内の小学5年生から高校3年生まで35名が活動しています。「自分たちのまちを知る」ことから始め「どんなまちにしたいか」、地域復興に向けたまちづくりを考えていく中で、「自分たちの活動の拠点、居場所が必要!」と子どもセンター建設構想につながりました。自分たちの想いをおとなに理解してもらうために、主張するだけではなく、意見を聴くための地域報告会を定期的に開催するなど、構想段階から地域との交流を図ってきました。
「子どもセンター」のコンセプトは「石巻の活性化のために中高生が中心となって作り、運営。みんなが過ごしやすく、子どもの想いを世間の人たちに伝えられる場所」。名称「らいつ」の命名から、事業の企画・運営にも子どもたちが積極的に関わっています。単なる居場所としての機能だけではなく、地域との交流を図ることにより、子ども参加による地域復興・まちづくりの拠点施設として機能していくことを目指しています。自分の考えが地域に活かされているという手ごたえは、何よりも自分への自信につながることです。活動にかかわってきた高校生の中に、「石巻市の職員として働きたい」という子どもが出てきて、この夏は公務員試験を目指してがんばっているとのことです。また、進学で県外に出ても、いずれは地元に戻って、働きたい、役に立ちたいと考えている子どもたちが多いそうです。
木のぬくもりが感じられる室内で、思い思いに過ごす子どもたちの笑顔。練馬にもこの様な居場所があるのだろうか。やはり子どもの権利条例が必要と感じました。