言葉の力、恐るべし!言葉の奥に隠されたもの(動画配信中)

「日本は次のリオのオリンピックには参加しないのですか?」「それとも、参加しても金メダルを取るつもりはないのでしょうか?」詩人・翻訳家・絵本作家、アーサー・ビナードさんの講演はいきなりこの言葉から始まりました。オリンピック招致のポスターのキャッチコピー「あの感動、次はニッポンで!」

「様々な競技の感動シーン、リアルタイムで観たいよなぁ・・・ニッポンで」とほとんどの人は、何の疑問も抱かずに目に、耳に、脳に刷り込まれてしまう(しかもオリンピックは都市開催のはずなのに)アーサーさんのお話は、発信されている言葉の奥に隠されたものを読み取らなければいけませんよ、ということでした。

さて、1月30日、東京・生活者ネットワーク「2013年 新春の集い」 で行われた本題の「福は内、プルトニウムは外」は 

核廃棄物の後処理のことも決めないまま、一握りの政治家と産業界のトップがアメリカの言うなりに核の平和利用=原子力発電を推進してしまった・・・それはアメリカの核開発の資金源になることです。アメリカは常に仮想敵国を想定し、それに対応するために軍事費を注ぎ込んでいます。節分のときに「鬼は外」と鬼を追い掛け回すようにかつてはソ連、今は中国でしょうか。 

「原子炉」の英語は「Nuclear reactor」。直訳すると「核の反応装置」となります。「核の平和利用」という言葉とともに、「炉」という言葉を使うことで、1950年代当時の復興の象徴である製鉄所の溶鉱炉の、温かみのある暖炉・囲炉裏の「炉」連想させ、受け入れてしまった。気が付くと、この狭い日本国内に54基もの原子力発電所が建設されていたのです。アメリカの核開発を維持するために日本の原発もまた維持していかなくていけない構図。

わたしたちはこのような背景を知らされないまま、しかも「景気をよくするためにはエネルギーが必要。」「原発がなくなったらエネルギーはどうするの?」という情報を聞かされ、原発をいやいやながらも容認せざるを得ないという状況に追い込まれているのではないでしょうか?

冒頭の話に戻りますが、アーサーさんは2020年のオリンピックは東京が選ばれるのではないか、と言います。世界の人々が核の利用に疑問を抱き、目が向けられるのをリセットするためにも“東京オリンピック”開催のシナリオが着々と進められているのではないか、と・・・

 

私たちは言葉の奥に隠されたものを見極め、自分の言葉で理解し発信しなければなりません。ヒロシマに投下された原爆を「ピカドン」「ピカ」と呼び、その悲惨さを訴えてきたように、生活者の視点の言葉を使って「脱原発社会」を訴えていかなければなりません。

福島原発の事故があった2年前にも、1950年代にも戻ることはできません。あらゆる生命と相容れない核利用に反対し、脱原発の取り組みをすすめます。