生物多様性って誰のため? ~上関どうするネットシンポジウム~から

山口県上関町の原発計画と祝島島民運動は新知事就任でこれからの行方は?生物学から見た原子力発電所の問題は何か?廃熱(温排水)が「海の温暖化」をもたらしているのか?9月8日に開催されたシンポジウムの報告です。

 

 

 

 

 

9月8日開催「シンポジウムいのちの海を埋め立てないで ~上関・祝島 自然とともに生きる未来へ~ 」の報告

 

28年前、山口県上関町に中国電力による原子力発電所の建設が計画されました。発電所の建設には、まず海を埋め立て、山を切り開くという大規模な自然破壊が伴い、生態系への影響は図り知れないのです。更に原子力発電所とは・・・、「反原発」を唯一の基準として反対運動を地元の上関町民・祝島島民がひとりひとり主人公となりすすめています。

 

佐藤正典教授とやない克子

佐藤正典さん(鹿児島大学大学院理工学研究科教授)の基調講演「瀬戸内海西部に残る豊かな内湾生態系」では、以下の内容でした。

 

 

原子力発電所が瀬戸内海の生態系に及ぼす影響

①    排熱による「海の温暖化」の問題

②    冷却水として大量の海水が取水され際に小さな生き物たちが死滅する問題

③    大量の放射性物質を放出する問題      

 

瀬戸内海に残る豊かな内湾生態系

 瀬戸内海の豊かな自然はこれまでの開発によって、多くの場所で本来の豊かさをほとんど失ってしまったが、上関を含む瀬戸内海西部には、多様な生き物とそれに支えられた沿岸漁業がセットになって残っており、このような場所はほとんど残っていない。

 生物多様性として、ハヤブサ・カラスバト・カンムリウミスズメ・スナメリ・ナメクジウオ・オオミズナギドリ・カクメイ科貝類など。

 

高島美登里さんと。

山戸孝さんと一緒に。

 

 

その後のシンポジウムでは、上関の高島美登里さんと祝島島民の山戸孝さんが参加して上関原発計画の反対運動の立ち上げや経過などについて話がありました。

 

 

 

 

2011年3月11日以降原子力発電所建設に伴う現地での工事は一切止まっているということですが、今年8月に就任した山本新知事は、「国の政策が出たうえで判断が求められる」と計画再開に含みを持たせているということです。

 生物の多様性がなくなり生態系が崩れてしまったら、人間にも影響があるのに・・・。一度壊れてしまった自然は二度と同じには戻りません。

 

 上関どうするネットのジンポジウムに初めて参加し、自然界に対しても原発は人 間が責任をとれないシステムだと いうことを再び認識できました。政府の原子力エネルギー政策がトーンダウンした今、 環境保護の観点からもこの原子力発電所建設計画が撤回されるまで、反対の声を上げ続けなければと思います。

シンポジウムのあとのパレードでは各自思い思いのプラカードや旗を持って、日比谷~銀座~京橋までを歩きました。