羽田増便問題、区は「国に見直しを求める考えはない」
2020年の羽田空港の国際線増便にともなう新ルート計画について、この先1年くらいの間に決定を下す時期に来ています。このまま、なし崩し的に計画が決められては困ります。
都心上空を低空飛行する新ルート計画について、練馬区でも、落下物の危険性や騒音を心配する声が出ています。わたしたちは経済優先、安全軽視の国の姿勢を指摘してきました。国は今年の3月に、落下物の未然防止策と事故後の対応の両面からなる「落下物対策総合パッケージ」を公表しました。しかし、それで落下物がゼロになるわけではありません。
今年1月から23区の東京・生活者ネットワークの議員を中心に「羽田増便に伴う都心上空縦断の新ルートの情報公開と都民の安全を求める請願」の陳情に取り組んできました。5月22日に1167名の署名とともにと議会あてに提出し、6月8日の都市整備委員会で審査されるということで、傍聴してきました。
委員会での質疑の中で、国交省が昨年、全国の国際線の就航が多い7空港で部品脱落の報告を求める運用を開始したところ、11月9日から今年の5月31日までの7か月間に219件の落下物があったことがわかりました。
これまで国は「落下物ゼロをめざす」と繰り返してきたのに、実態が伴っていない状況です。
この間国は、整備士の人員配置や資格基準などの規制緩和で安全基準を切り下げている現状で、検査体制の強化で落下物対策を図るというのは矛盾しています。
5月24日に熊本空港を離陸した日本航空機から、エンジン損傷により飛散した金属片で、熊本県益城町では車両や建物の窓ガラス等が破損するという事故が発生しました。同じような事故が23区上空で起きていれば大惨事になることは容易に想像できます。
この事故を受けて、豊島区長は原因究明、再発防止策、情報公開を強く求める要請文を国に送付したと発表しました。
また、都市整備委員会で「地元の理解が得られたということをどう確認するのか」との質問に、都は「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会で地元の意見を取りまとめる」と答えました。
6月14日、区議会第2回定例会の生活者ネットワークの一般質問で「73万区民の命を守る自治体の長として、23区上空を低空飛行する新ルート計画について、落下物の危険性や騒音を心配する区民の声を受け止め、計画の見直しを求めるべきだがどう考えるか」、と質問しました。
区長に質問したにも関わらず、環境部長が答弁に立ちました。
「区としては、これまでも、区民の安全と環境保全のために、説明会での丁寧な情報提供や情報発信拠点の設置を求めるなど、必要な要請を行ってきました。これからも、落下物、騒音対策の確実な実施や、区民への更なる周知などを求めてまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、安全を確保した上での羽田空港の機能強化は、東京の国際競争力を高めるとともに、多くの観光客の誘致、都民の利便性を向上するうえで必要なことであり、見直しを求める考えはありません。」
少数者の声に耳を傾けない区長の姿勢は残念でなりません。