世論調査では改憲賛成が57%というけれど・・・

読売新聞社が今年3~4月に実施した憲法に関する全国世論調査(郵送方式)では、憲法を「改正する方がよい」とした人は57%(昨年調査60%)だったと報道されました(2026年5月3日)。

早期の改憲の国会発議に意欲を示す高市首相の前のめりな姿勢や、2月の衆議院選挙で改憲に賛成する議員の圧倒的勝利を受けて「憲法改正が目の前に迫っている」と嘆く人々を目の当たりにしています。
私自身は、「国家(為政者)権力を縛るための憲法」なのに、縛られる側が「憲法改正、憲法改正」と声高に主張することの裏に何が隠されているのか、疑いの目を向けています。また、現行憲法を改正する必要性をまったく感じていません。

あらためて憲法改正に必要な手続きを学ぶとともに、憲法改正の実現度合いを確かめるために学習会に参加しました。

憲法改正、改憲発議、その前に

憲法を学ぶ実行委員会主催の「みんなで学ぼう憲法連続学習会」。3回目が憲法改正のための国民投票の学習会でした。
講師は、国民投票総研代表の南部義典さん。
私たちも2018年に南部さんを講師にお招きし、学習会を開催しました。

結論から言うと、故安倍首相が「2020年までに憲法9条に自衛隊を明記する」と主張していた2018年の段階から、憲法改正に必要な手続き論=国民投票法の整備をはじめとする課題解決のための議論は一向に進んでいないのだそうです。

・・・と思っていたら、
憲法改正手続きを定める国民投票法の改正案が、11日の衆院憲法審査会で審議入りした
今国会での改正案成立を目指す自民は、審査会に先立つ幹事会で18日の採決を提案した
と報道され、いよいよ改憲発議に向けて国民投票法改正に向けて動き始めたか⁉とちょっと危機感を覚えましたが・・・
改正案の内容は
①離島から投票箱を運べない場合に現地で開票作業が可能
②なり手不足の投票立会人の選任要件を緩和
③AM放送からFMへの転換に伴い、FMでも改憲案の広報を放送できる
というもので、

以前から指摘されていた
憲法改正案に対して国民に賛成・反対の投票を行うよう勧誘する「国民投票運動」に関する資金や広告の規制については具体的な議論が進むようにはみられません。
お金を制限なくかけられる人(団体)が国民投票を有利に動かせることを懸念します。

特に、現行法で最もバランスが悪い「デジタル広告」についての規制を明確にすべきです。
グーグル(YouTube)、メタ(Facebook、Instagram)、X(エックス)、LINEヤフーといった主要なSNS事業者が扱う国民投票運動広告については、
・その表示の条件=費用、回数、時間帯等 において<賛成派><反対派>との間で格差が生じないよう、公平な取り扱いを徹底すべき
・主要なSNS事業者は、国民投票運動広告の「広告主」「広告表示機関」「推定表示回数」「広告費用」についてのリアルタイム情報公開に取り組むべき(グーグルは米豪などでデジタル政治公告の情報公開をおこなっているとのこと)
と南部さんは指摘しました。

現状で国民投票を実施したら自治体が自腹を切ることに!

憲法が定める ①国会議員の選挙 ②最高裁判所裁判官の国民審査 ③地方自治特別法の住民投票
のための経費(公報の印刷・配布、投開票などに係る経費)は、1950年制定の「執行経費基準法」に基づき、国から自治体に支払う制度が整っています。

しかし、執行経費基準法は憲法改正国民投票については何も定められておらず、現状のまま国会が憲法改正の発議をすれば自治体が自腹を切ることになるのだそうです。

国会議員の選挙と同様に、憲法改正国民投票の経費の基準を定める「第三の法律」の必要!
第三の法律が制定されるまでの間、手続き論としては「すべてが妄想に終わる」と南部さん。

デジタル立憲主義

デジタル立憲主義は、従来の立憲主義の原則をデジタル空間に拡張し、民間プラットフォームの権力集中に対抗しつつ、個人の権利を保護する新しい政治理念です。

デジタル社会の進展によって、巨大デジタルプラットフォームが実際に民主主義に影響を与えています。
国家権力を「憲法」という檻の中に入れられたとしても、大手IT企業が野放しでは個人の権利の侵害につながる恐れがあり、縛りをかける必要があるという考えです。

時代の進化に伴う新たな課題についても関心を持って学び続けていきます。

一緒に学んだ生活者ネットの仲間たち。左から、増茂(目黒区議)、吉田(品川区議)、南部先生、田中(品川ネット)、やない