「食」を介した介護予防が拡充~予算特別委員会より~

生活者ネットワークは、ひとり暮らし高齢者の増加が見込まれる中で、「食」を介した介護予防事業は重要であると考え、充実を求めてきました。区は、来年度から食のほっとサロン事業実施に要する経費を大幅に増額し、講師謝礼に要する経費も新設するなど充実させていくとのことです。

食のほっとサロンは介護保険法に基づく「介護予防・生活支援サービス事業」です。同事業の利用対象者は、
・要介護認定の申請を行い要支援認定を受けた人
・生活状況を判断するための25項目の「健康長寿チェックシート」に回答して、運動機能・栄養状態・認知機能低下などのおそれがあると判断された人
・65歳以上であれば要支援認定等の有無を問わず利用することができる事業です。

住民主体の介護予防事業

区は、介護予防法に基づく「有償・無償ボランティア等により提供される」住民主体の通所型サービスに位置付け、高齢者等に対する共食の場づくりを進めることにより、閉じこもり予防を図るとともに、健康で自立した生活を送ることができるよう支援し、介護予防を推進することを目的としています。

地域活動団体が会食を中心に口腔ケアや軽い体操、季節の行事などを実施しています。
2024年度は9団体でしたが、来年度から7団体が新たに加わり、年度途中からの開始を検討している情報も伺いました。

介護予防のノウハウの支援を

ひとりで通えることが条件ですが、事業の対象は要支援者相当の方であり、利用者によっては専門職による的確かつ適切な支援が必要な場合もあり得ます。主催団体に介護職の配置を求めているわけではないので、適切な支援につなげられるように主催団体自体を支援するしくみと相応の対価が必要であるという視点で事業の検証を要望しました。

区は、さまざまな介護予防のための講師派遣や、目的に沿って事業が行われているか、困っていることはないか団体と共有する場を設けて課題を解決していくとのことです。

「サービス・活動事業」に名称変更⁉

国は、地域支援事業実施要項を改正したことに伴い「介護予防・生活支援サービス事業」を「サービス・活動事業」に名称変更すると医療・高齢者等特別委員会で報告がありました。
この名称変更は、「介護予防」という目的が不明確になってしまうことを懸念します。
区は発行する「すぐわかる介護保険」をはじめとする高齢者施策をお知らせする冊子やホームページ上での表現の工夫を求めました。

介護保険制度を後退させるな

2014年「地域包括ケアシステムの構築」を掲げた介護保険法の改正により、要支援認定者のホームヘルプ・サービスとデイサービスが自治体の地域支援事業、いわゆる総合事業に移行しました。
ここ数年は、要介護1と2の認定者を「軽度者」として介護保険給付から自治体の総合事業に移行し、給付を縮減しようとする議論が続いています。今回の名称変更が、介護保険制度の後退につながることを懸念します。保険制度にあって、介護保険料を払い続けていながらサービスが必要な時に受けられないことは、要介護認定者の受給権を大きく損なうものです。訪問介護報酬の引き下げが訪問介護人材の不足に拍車をかけています。在宅サービスが後退しないように国に検討するよう要望しました。