大泉二中の教育環境の保全を求める陳情に賛成
6月3日から練馬区議会第二回定例会が始まりました。
初日の本会議では、前定例会終了後から5月までに開催された委員会での審議の報告があり、賛否の分かれた陳情について延べ15人が討論しました。開会初日から討論が行われるの初めて(少なくとも私の10年の経験では)。2023年度から陳情の質疑・審査のしかたが変わり、提出された委員会の構成員の任期中に審査することになったためです。
陳情が付託された文教児童青少年委員会では、賛成少数で不採択。本会議では、3人が陳情に賛成の立場で討論(反対する討論は無し)しましたが、採決の結果、本会議でも賛成少数で否決されました。
私は、区立大泉第二中学校を分断する道路計画についての陳情に賛成の立場で討論しました。
映像をご覧ください。やないの討論は2時間30分ごろからです。
以下、討論原稿です。
生活者ネットワークを代表して、陳情第50号「大泉第二中学校を分断し教育環境と地域の生活環境を損なう道路計画の見直し求めることについて」の第1項 「中学校の教育環境を守るため、都市計画道路補助135号線および補助232号線の整備を前提とした取組方針を作成しないこと」 の願意に賛成し、討論を行います。
賛成の理由は、教育環境の保全を最優先にすべきと考えるからです。
区は、2016年に区立大泉二中の教育環境保全ならびに都市計画道路補助135号線および232号線の整備について、事業の方向性や方策を検討するための有識者委員会を設置し、これまで20回開催してきました。2019年に有識者委員会が提言をまとめましたが、その後の表立った動きは見られず、コロナ禍を経て策定された第2次みどりの風吹くまちビジョン改定アクションプランで、2022年度に取組方針を策定すると計画したものの、実現できませんでした。
今年3月に策定された「第3次みどりの風吹くまちビジョン」で今年度、2024年度中に取組方針を策定することが掲げられ、都市計画道路の第4次事業化計画の事業期間である2025年度までに何が何でも事業着手したいのだということが感じられます。
中学校について、「周辺への全面移転」「現敷地を活用した校地の再形成」「現位置での再建」、提言では3つの案が示されました。
私たちは、教育環境を守るためには、提言で示された「全面移転」しかないと考えますが、敷地を確保するためには相当数の関係権利者との交渉が必要、用地取得にかかる経費も高額である、実現性の点で課題が大きい、と有識者委員会は評価しています。そして、3つの案の中で妥当だと判断したのが、現敷地を活用した再形成案です。
しかし、そもそも、学校の敷地を分断する都市計画道路、しかも2本の道路整備と教育環境の保全という相反する問題を両立させること自体、無理があると考えます。
区は、この陳情を質疑する文教児童青少年委員会で「防災の視点で道路整備が必要である」という従来の主張に加え、「大泉二中が築52年であり、老朽化に伴う改築を望む声がある」として、道路整備に合わせて改築する際には、有識者委員会で検討された「大泉二中の特色を踏まえた施設機能を加える」と説明しました。しかし、これは道路で学校を分断することと引き換えに教育環境を向上させるかのような考え方であると言わざるを得ず、容認することはできません。
また、陳情の質疑でも指摘されていましたが、学校施設の分断が車いすユーザーをはじめとする移動が困難な生徒にとって、学校生活に支障がでないか懸念します。区は、エレベーターを設置するといいますが、特に災害時の避難に問題が生じないか慎重に考えるべきです。
幅員の広い道路が整備されれば、沿道の用途地域も変更されることが考えられます。学校を含め沿道地域の高度利用が促され、現在の閑静な住宅地が変容し、日影や車両の走行による振動、騒音など、生活環境に与える影響を懸念します。
幅員の狭い学芸大通りの交通の課題、歩行者・自転車・車両の安全確保に課題があることは認識していますが、その解決が新たな道路整備しかないのか、気候危機が叫ばれるなかコンクリートの構造物をつくることが自然環境に与える影響も大きな問題として考えるべきです。
都市計画決定から半世紀以上経過しても事業化できないのは、この道路計画そのものに無理があるからにほかなりません。道路の必要性とともに安全な交通環境の実現の方策を検討するなど、計画を見直すべきです。以上で、討論を終わります。