「守る農業」から「開く農業」へ~全国都市農業フェスティバルに参加~
11月19日、「令和5年を彩る3大プロジェクト」と練馬区が力を入れてきた最後のイベント「全国都市農業フェスティバル」が都立光が丘公園で開催されました。
全国都市農業フェスティバルは、2019年に開催された「世界都市農業サミット」の成功をもとに、都市農業に積極的に取り組む自治体や農業者とともに、都市農業の魅力を広く発信し、更なる都市農業振興を図ることを目的としています。
「守る農業」から「開く農業」で都市農業を残す
全国の都市農業のプロを招いて「都市農業のこれからを語り合う」トークライブでは、
区内の若い生産者2名に加えて、国分寺市、松戸市、名古屋市、京都市の生産者がそれぞれの取り組みの紹介と今後の展望を語りました。
国分寺市 こくベジ
生産者、JA、NPO団体、行政、飲食事業者などさまざまな団体が連携して国分寺市産の農産物を「こくベジ」とブランド化。農家から飲食店へ農産物を運ぶNPO団体が「御用聞き」の役割(届いた野菜の感想や苦情、生産への要望など)をとなっているとのことでした。
松戸市 あじさいねぎ
関東産のネギとしては珍しい青い部分が多いのが特徴の「あじさいねぎ」。東京向けに出荷していたため、地元産でありながら地元では知られていなかったそうです。東日本大震災による東京電力福島第一原発事故後の風評被害によって、売り上げが激減。個人的に関係のある地元の飲食店で使ってもらうはたらきかけから始まり、市内の飲食店への直接販売を拡げて、安定的な生産につなげたそうです。
名古屋市 徳重だいこん
絶滅状態にあった伝統野菜「徳重だいこん」を粘り強く復活させる活動の一方で、名古屋産のアボカドつくりに取り組むなど、収入を上げるための工夫を聞きました。
京都市 「株式会社化」で農業を守る
新規就農者が農業の継続を可能にする方策として「株式会社化」。有給休暇制度などのしくみを取り入れながら「農業にトライしたい」若者の受け入れることが、農地や農業を守ることにつながると。
また、関係性のある飲食店から回収し生ごみをたい肥化し畑に使うなど、環境に負荷をかけない取り組みに力を入れているそうです。
農家・生産者は、先祖から引き継いできた農地を守るという使命を感じて農業を続けてきた人が多いが、農業者だけが農地を守るのではなく、さまざまな人々とつながる「開く農業」が、これからの農地や都市農業を残していくことになるのではないか、という言葉が印象に残りました。
練馬区内には270カ所の直売所(庭先販売所)があり、練馬産の農産物を使っている飲食店も増えています。また、農福連携の取り組みも着実に進んでいます。
我が家の周りにも複数の農地があり、新鮮な旬の農産物を享受し、農地の上空に広がる高い空を感じながら日々過ごしています。しかし、それは当たり前の風景ではなく、営農する農業者がいてくれたからこそ。
トークライブの最後に「『農の風景があっていいな』と思っているだけでは農地はなくなる。いいなとと思う風景を残すために何ができるのか」と投げかけられました。大きな宿題に取り組んでいかなければと考えています。