介護の改悪を許すな~一般質問より~
「介護の社会化」と「利用者の自己決定・自己選択」を旗印に、2000年度に始まった介護保険制度ですが、改定のたびに負担増とサービスの低下、制度は複雑になり職員の報酬が下がるなど、利用者にとっても事業者にとっても改悪になっています。
2024年の次期改定に向け、昨年9月からの社会保障審議会介護保険部会の最大の論点は、
利用料2割負担の利用者の拡大
ケアプラン作成の有料化
訪問介護、通所介護を利用する要介護1,2認定者の総合事業への移行
ケアプラン作成の有料化と総合事業への移行は、委員はじめ、利用者やその家族、関係団体から大きな反対があったため、今回は見送られ、3年後の見直しで結論を出す見通しが示されました。
要介護1,2は「軽度者」なのか?
要介護1,2の要介護高齢者は、心身の状況や認知症状の状態、生活背景が様々であり、一律に「軽度者」とみなすこと自体が問題です。認知症の家族会からは「要介護1や2には認知症の人も多いため、専門的なケア受け、少しでも病気の進行を遅らせるのが重要」と訴えています。
全国一律の基準がなく自治体の判断で運用する総合事業への移行が現実的なのか、一般質問で区の見解を質しました。
区の答弁:要介護1・2の方への生活援助サービス等に関する給付のあり方については、社会保障審議会介護保険部会で検討しているところ。現行の総合事業に関する評価・分析を行い、介護保険の運営主体である市町村の意向や利用者の影響等も踏まえながら検討を行い、2027年度からの第10期計画期間の開始までの間に、結論を出すことになっている。区は、国の動向を注視し、介護事業者等の声を聴くなど、実態把握に努め、必要に応じて対応する。
介護職の報酬引き上げは急務
私が関わる介護職のほとんどは、「大変なことも多いけれど、本来ならやり甲斐のある仕事だ」と言っています。しかし、介護事業所はいずれも人材確保に苦慮しており、経営も苦しいが人材を確保できないことで事業継続を断念する事業者がいるのも事実です。介護が必要になってもヘルパーがいないという状況になるのは時間の問題ではないかと危惧します。
在宅介護を崩壊させないためには、介護職の処遇改善は不可欠です。岸田政権が始まってすぐ、月額9000円の賃上げが実現しました。しかし、全産業の平均賃金との差が4万円という状況から考えると十分とは言えません。しかも、当初は税金の投入でしたが、昨年10月以降は介護報酬からの支出になり利用料に影響が出ています。
現状の介護保険制度は、介護報酬を引き上げると介護保険料も上がるしくみです。制度の枠を超えて、税金を投入するなど抜本的な見直しをしなければ、地域包括ケアシステム自体が崩壊してしまうのではないかと懸念します。
介護保険は、超高齢社会が進展する中でなくてはならないセーフティーネットです。「現場の状況を一番わかっている自治体から国に強く働きかけてほしい」と要望しました。
誰もが住み慣れた地域で暮らし続けるための福祉施策の充実に取り組みます。