振動・騒音調査は住民宅でも実施すべき

1月23日の練馬の会場を皮切りに始まった「外環事業シールドトンネル工事の『再発防止対策』および『今後の対応』などに関する説明会」。

練馬区内の会場の来場者は、泉新小学校が約50名、上石神井小学校が約80名とのことです(正確な人数の報告を求めています)。
地域に配布した「お知らせ」に印刷されたQRコードから(来場しなくても)説明会資料を確認できる、と示されていますが、この資料を見るだけで説明会の内容を理解できる方がどれくらいいると事業者は想定しているのでしょうか。

「再発防止対策」しても地上には影響が出るのですね⁉

「地域の安全・安心を高める取り組み」として示されたものを抜粋しました。
①②については、本来であれば事業開始前に十分に調査・検討して実行される当然の取り組みではないでしょうか。
③については、振動や騒音の感じ方には個人差がある⇒自己責任にも通じると感じました。さらに、「特別な人には配慮してあげる」と一見丁寧な対応のようですが、一時的にでも暮らしを変えさせてまで事業を推進する権利があるのか、と問いたいです。

振動・騒音対策
①振動・騒音の緩和
・外周部に滑剤を使用し、シールドマシンと周辺土砂との摩擦で生じる振動・騒音を緩和
・掘進速度の調整で掘削音を緩和
・シールドジャッキの長さを調節してシールドマシン本体の振動・騒音を緩和
・シールドマシン掘削に際し、地盤に適した添加剤を選定
②振動・騒音のモニタリングの強化
・計測器を設置し速報値を表示
・振動・騒音の測定頻度の見直し(500m掘進毎→100m)
③一時滞在先の提供(⁉)
振動・騒音(低周波含む)の緩和対策と併せ、特に振動・騒音を気にされる方へ掘進期間中に一時的に滞在可能な場所を確保・提供

振動・騒音(低周波含む)の計測は掘進前から個人宅でも実施を

「土砂の取り込み過ぎが陥没事故の原因」と結論付けたこと、それを基に示された「再発防止対策」について複数の専門家が疑問を呈しています。このような状況のままで、たとえ事業用地内でもシールドマシンの再掘進はすべきではないと考えます。
大泉側のシールドマシンが掘進すれば、事業用地外(=民有地)に到達するのは時間の問題です。

調布市の陥没事故周辺の被害住民の方の中には、長時間にわたって振動を体感したことでシールドマシンが停止している現在でも揺れや音に過敏になって苦しんでいる方が複数人おられます。しかし、「地上には影響しない」大深度法に基づく工事のために家屋調査以外の事前調査がされずに、工事前の計測データが存在しないのです。そのため、どれくらいの振動だったのか、騒音だったのか、それが人体にどのように影響したのか検証が困難な状況です。
今回示された「振動・騒音のモニタリングの強化」は、あくまでも公用地で実施するものです。
外環道沿線で暮らす住民の体(健康)への工事の影響を明確にするためには、事業開始前から継続して計測し、データを取る必要があると考えます。

説明会で「事業者の責任として個人宅でも計測すること」を求めました。
「個人宅で絶対に計測しないということではない。相談があれば対応を考える」と回答しました。
そうであれば、周知しなければ住民には伝わりません。むしろ、事業者から計測させてほしいと依頼すべきではないでしょうか。

住民の現場視察が再発防止対策なのか?

説明会では、「現地見学会の実施」や「自然災害(大雨、防風、降雪、地震など)の発生時は関係自治体と連携協力して対応」と示されましたが、それが安全・安心な東京外環道およびシールドトンネル工事と何の関係があるのか、印象づけるだけではないのかと思わざるを得ませんでした。

「地上には影響しない」と強引に進めてきた挙句に陥没事故を起こし、家屋の損傷だけではなく甚大な健康被害を生じさせた東京外環の工事は中止すべきと考えますが、直面する問題にも注目し対応を求めていかなければなりません。

左側が陥没の原因となった「気泡材」。右は鉱物系の滑剤「ベントナイト」地盤によって配合を調整するという。

 

添加材の有無で土の形状(柔らかさ、固まり具合など)が違うことを体感できる。「安全・安心」理解のための努力?

 

上石神井小学校の説明会場では、青梅街道インターチェンジ周辺住民の方たちが「オミクロン株の急激な感染拡大によるまん延防止等重点措置期間中の説明会開催は、住民の説明を受ける権利、質問する権利を奪うことだ」と抗議しました。