なぜ、ワクチン接種予算に反対したか
2月12日(金)、新型コロナウイルスワクチン接種事業に係る補正予算議案について審議、議決しました。
生活者ネットワークは、議論に議論を重ねた結果、予算案には反対することを決めました。
ワクチン事業に関する補正予算は、当初、2020年度の最終補正予算案として3月に審議される予定だったはずです。ところが、急遽、ワクチンに係る予算だけ取り出し、審議することになったのです。
ワクチン接種の対象や受ける順位は厚労省が示している通り、
(1)医療従事者等
(2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
(3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
(4)それ以外の方
となっていて、高齢者の接種事業のしくみを整備するところからが自治体の役割です。
練馬区では、1月下旬に公表された【練馬区モデル】が注目され、実際にワクチンが流通された時にスムーズに区民が受けられるように、区として尽力しているのは理解しています。
私たちがもっとも懸念しているのがワクチンの安全性です。
一般に、医薬品の研究開発は基礎研究、非臨床試験、臨床試験で進められ、10年以上の期間が必要と言われています。ワクチンについても、ワクチンファクトブックによると「開発には非常に時間がかかり平均10年から15年を要する」とあります。健康な人に接種するワクチンは治療薬より高い安全性・有効性が求められます。
「無症状感染者やすでに抗体を持っている人がワクチンを接種した場合の安全性は示されているか」
「区民向けの通知に『ワクチン接種は任意であること』をどのように表記するか決まっているか」
「ひとり一人がワクチンを接種するか否か、それを判断するための情報公開、情報提供をどのようにするのか」
などの質問に対して、区は「薬事承認後に厚労省が示すQ&Aなどを参考に検討する」と答え、現段階では決まっていません。
少なくとも、薬事承認後に審議、議決すべきだと考えました。
私たちは、すべてのワクチンを否定しているわけではありません。
しかし、今回の新型コロナウイルスワクチンは、これまでとは違う遺伝子組み換えワクチンであり、十分な検証が必要と考えます。
治験機関が短く長期にわたる影響が確認されていない現段階で、全区民を対象にワクチン接種を推進するための補正予算を認めるわけにはいかないと判断しました。
本会議の賛成討論では
「予算に反対することは区民の接種する権利を奪う動きだ」との発言がありましたが、区が、区民にどのように周知していくのか確認できないまま賛否を決めることは、無責任だと考えます。
また、「ワクチンは感染症収束のカギだ」というのも、誤ったメッセージとならないか心配です。
ワクチンを接種したからといって、完全に感染しないということは無く、感染予防には引き続きこまめな手洗いやマスク着用、三密回避の行動が求められます。
先日、ニュージーランドのコロナ対策の学習会に参加しました。
ゲノム解析による徹底した感染履歴の把握
全労働者に対する休業手当給付をはじめとする経済支援
など、科学データに基づく政治判断で「コロナゼロ」を継続しているとのこと。
その結果、通常であれば減収する冬期間の7月から9月期の国内総生産(GDP)成長率が、前期比14%増という過去最高の伸び率となり、Covid-19起因の景気後退から一転、記録的回復となったとのことです。
ワクチン接種がすすめば「すべて解決」ではありません。
「感染させない」ためのPCR検査体制を拡充することや、医療や保健行政を縮小してきた経緯を見直し、国民の命と健康に向き合う政治を求めていかなければなりません。