プラスチックごみ削減は、命と健康と未来の問題

プラスチックの海洋汚染問題、プラごみ削減の第一人者である高田秀重東京農工大学教授を講師に迎えた講演会に参加しました。主催は練馬区立リサイクルセンター

昨年7月からレジ袋の有料化が始まりました。皆さんはマイバッグを利用していますか?
環境省は、受け取りを辞退する人の割合が昨年3月の30.4%から11月末に71.9%へ増えたと発表しました。
保津川下りで有名な京都府亀岡市では、レジ袋の使用を禁止する条例を制定、今年1月1日から施行が始まっています。当初は市民、特に小売事業者は猛反発でしたが、担当職員の粘り強い取り組みで無事施行日を迎えるまでの3年間の密着取材したTV番組をご覧になった方もおられると思います。

マイバッグ持参はある一定程度定着してきた感がありますが、一向に減らないのが飲料用ペットボトル。そして、新型コロナウイルス感染症蔓延で、外食からテイクアウト利用が増えた結果プラスチックごみが大幅に増加しています。

海洋プラスチック汚染が健康に与える影響は
ポイ捨てなんてしていない、適切に廃棄しているのに・・・と多くの方は考えていると思います。
しかし、残念ながらゴミ箱からあふれ風に飛ばされ、紫外線や風雨に晒されて、細かくなりながら海まで到達してしまうものが現に存在しているのです。
そして、それが魚介類や海鳥の消化器官から検出され、食物連鎖で、人間の体内に入ってくることも十分考えられことは、以前の高田先生の講演会後にレポートしました。

様々な毒性を含んだプラスチック成分が体内に入ることで、健康被害につながっている顕著な事例は見当たらないが、免疫力の低下につながる恐れは十分考えられると、複数の研究者が警鐘を鳴らしています。その免疫力の低下が、新型コロナの重症化と関係があるのではないかと懸念する報告もあるようです。

プラスチックは本当に安くて便利なのか
練馬区では、容器包装リサイクル法に基づいてプラマークがついたものはプラ資源として回収していますが、処分までに多額の税金が投入されています(2020年度予算では約11億円計上しています)。
汚れたものは焼却しますが、清掃工場の運営も税金。脱炭素にも逆行します。
全国では依然として埋立処分している自治体もありますが、環境ホルモンをはじめとする有害物資の地下水への流入は深刻な環境破壊です。

このまま放っておけば、2050年には魚よりプラスチックの量の方が多くなると言われています。

プラスチック削減のための高田先生の提案
・使い捨てプラスチックの使用削減
・再使用、リサイクルが容易になるような商品や包装の生産、流通と消費者の選択を促進
・流通方式の変更
⇒生鮮食品の長距離輸送から地産地消へなど
・紙や木由来のバイオマスプラスチックの利用促進
⇒但し、食料生産への影響や環境破壊を懸念。バランスが大事
・生分解プラスチックの改良と陸上での分解促進(海に流さない)
・海岸清掃(行政、ボランティア)
・削減ファーストの3R意識の啓発
Reduce(リデュース:削減)>Reuse(リユース:再使用)>Recycle(リサイクル)

高田先生は中学から大学まで練馬で過ごされたとのこと。優しい話し方ですが、明快でプラスチック削減へのエネルギーが伝わってきました。

早くから容器包装リサイクルに取り組み、近年では練馬区役所プラスチック削減指針の作成やマイボトル用の給水器を新たに設置するなど、プラスチック問題に取り組んできた練馬区がさらに先進的に取り組むよう求めていきます。