「地上には影響しない」前提崩れた「大深度法」は廃止すべき

外環道(関越~東名)トンネル工事のルート上の調布市の住宅街で市道陥没事故が発生してから約1か月。
11月21日(土)、外環道路の問題点を明らかにするため活動している「外環ネット」主催の緊急集会に参加しました。

杉並で外環問題に関わってきた、小松久子元都議と

9月ごろから住宅の振動や異音、外壁の損傷などに悩まされてきた陥没事故周辺の住民の方々は、
原因究明の調査をおこなう事業者職員が絶えず家の周りにいて、監視されているようだ。
陥没に続き、地中に空洞があることがわかり、何が起こるかわからず毎日が不安。
住民向け説明会では「住民に寄り添った対応をする」と言っているが情報開示せず、不信感が募るばかり。
など、次々に不安を訴え、聞いている私も胸が詰まる思いでした。

大深度法が最大の事故原因だ

陥没現場近くに在住し、自宅の壁にひびが入るなどの被害を受けたジャーナリストの丸山さんは、大深度地下法(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法)は違憲だと主張します。

「大深度地下は通常使用されない空間」で「地上には影響が及ばない」として、地権者に了解を得ることなく、工事を進めることができる「大深度地下法(以下、大深度法)」。
本来であれば、道路などの公共工事などで用地取得には地権者との合意と適正な補償が必要です。
ところが、大深度法があることで、土壌や地歴の調査から実際の工事まで綿密な実行が求められることへの対処がいい加減になり、ずさんな工事が強引に進められてきた、と丸山さんはじめ外環ネットのメンバーは指摘しています。
野川や白子川に酸欠気泡の発生があっても「環境には影響ない」、住民からの振動や異音などの被害の訴えがあっても「シールドマシンが通り過ぎるまでの間」などと、国もNEXCOも問答無用の姿勢だったのは、「法に則っているから問題ない」とされているからだと丸山さんは言います。

地中を掘削すれば、陥没や空洞はどこにでも起こりうる

「道路陥没や地中の空洞が、シールドマシン通過の約1か月後に発生していることに着目すべき」と会場から発言した、長年トンネル工事に携わってきたという参加者の解説がわかりやすいと感じました。
掘削する圧力と地中の壁からの圧力のバランスを取りながら掘進していれば良いが、進みづらくなったからと掘削する力を加え、圧力が上回ると力のバランスが崩れ、土砂を取り入れ過ぎてしまう。そうすると土砂とともに地中の水が移動することで陥没や空洞が生じる、というのです。
トンネル掘削が原因の陥没発生は、直近では東急新横浜線(相鉄・東急直通線)の「新横浜トンネル」工事によるものなど、複数報告されていて、全国どこででも起きる可能性があると指摘しました。

リニア新幹線の計画の見直しを求める市民団体も「他人ごとではない」と集会に参加し、連携して計画の見直しや大深度法の廃止を求めていきたいと発言していました。

因果関係がないはずない、のでは⁉

集会当日の深夜、新たな空洞が発見されたとインターネットニュースが報じました。
10/18の市道陥没事故、11/2と21の空洞発見はすべて外環計画線上
いつまで「工事との因果関係は調査中」で通すのでしょうか。

事業者である国とNEXCO東日本は、住民の不安に真摯に向き合い、一刻も早く被害補償に応じること、沿線一帯に詳細な事故報告のための説明会を開催することを求めます。
そして、「所有権は侵してはならない」という憲法29条に反する大深度法は廃止すべきです。