訪問介護事業所の危機は「地域で暮らし続けること」の危機 ~第三回定例会報告~

超高齢社会の進展、ひとり暮らし高齢者の増加が見込まれるなかで、訪問介護のニーズは増々高くなっていくと考えます。ところが国は、2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げました。

東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業者の倒産件数は179件で、このうち約半数(86件)を訪問介護事業所が占めたとのことです。また、NHKの調査では、昨年度、訪問介護事業所が地域にひとつもない自治体が、全国で100か所以上と報道されました。

東京・生活者ネットワークは、2024年7月から10月に「訪問介護事業所の運営に関する実態調査」をおこない、都心部においても、訪問介護事業所、特に地域に根差した小規模の訪問介護事業所の多くが経営の危機に陥っていることがわかりました。

品川区は区内の訪問介護事業所に対して、報酬引き下げ分との差額を給付金として補填すると打ち出しました。次期報酬改定までの臨時的な措置と位置付け、2026年度末までの実施を見込んでいるとのことです。
品川区が訪問介護サービスへの支援が急務だと判断した背景には、報酬改定以降、区内の訪問介護事業所4カ所が廃止になったという状況もあるようです。

区長は「介護報酬の改定は制度設計した国の責任において実施すべきもの」という考えですが、私たちは訪問介護事業所の危機は「安心して住み慣れたわが家で暮らし続けること」の危機であると考えます。

区は、社会機能の維持に欠かせない介護・障害者児サービス事業所や保育施設等を対象に「施設等運営支援臨時給付金」を実施しています。
しかし、2024年度は、「光熱費の高騰分」に対応するものということで、訪問介護事業所に給付されたのは15,000円のみ。(事業で消費する光熱費が通所系事業所より少ないという考え)
2025年度は、今定例会で補正予算を計上しましたが、訪問介護事業所への給付は65,000円とあまりにも低いと言わざるを得ません。

練馬区としても、区内の訪問介護事業所から「報酬引き下げは実情に沿っていない」という声を聞き取っているのですから、現状を把握し早急に適切な支援を実施すべきです。