戦後80年、被爆80年によせて
2025年8月15日、戦後80年を迎えます。
1937年の日中戦争とそれに続く太平洋戦争によって約310万人が犠牲になりました。その後、日本が中心となって関わる戦争は起こっていませんが、世界では紛争が絶えません。
ウクライナとロシア、パレスチナとイスラエルをはじめとする中東、またミャンマーやアフリカ諸国でも、戦闘行為が繰り返され、戦闘員のみならず多くの子どもや女性、高齢者、障害者など最も弱い立場に置かれた人々が犠牲になっています。
なぜ、人は争うことをやめられないのでしょうか。殺し合いの連鎖を断ち切ることはできないのでしょうか。
日本が「戦後80年」を迎えられたのは、あの戦争を経験した大勢の人々が戦争の悲惨さを語り継ぎ、「二度と戦争をしてはならない」と訴え、平和のために行動してきたからだと考えます。しかし、80年が経過した今、実際に戦争を経験した人は非常に少なくなり、反戦・平和の意識が揺らいでいるのではないかと懸念しています。
日本国憲法9条のもと従来「できない」とされてきた集団的自衛権の行使容認、他国領土を攻撃できる長射程ミサイルの配備や武器輸出の解禁、自衛隊基地の新設、防衛費の大幅増など、軍備を増強していると言わざるを得ない状況です。特に、沖縄島をはじめ南西諸島においては、「台湾有事」を理由に、次々とミサイル部隊が配備され、大きな犠牲を生んだ沖縄戦を経験した人々や語り継いできた人々は「戦争の準備をしている」「戦争前と同じ歩みをしている」と、危機感を訴える声を発しています。
戦後80年は、被爆80年の歴史ともいえます。
広島と長崎に原子爆弾が投下されて以来、核攻撃や核戦争が発生していないことは事実です。しかし、ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢を見ると、核戦争の脅威は目の前に迫っていると言わざるを得ません。また、「核抑止論」を公然と発言する政党の躍進にも危機感を覚えます。
ノルウェー人民援助(NPA)が米国科学者連盟(FAS)と協力して発表した「核兵器禁止監視報告書」によると、2017年に国連が核兵器禁止条約(TPNW)を採択して以降、老朽化した核弾頭の廃棄によって核弾頭の総数は徐々に減少してきたが、実際に使用可能な核兵器の数は2017年の9272発から2024年初めの9585発、2025年初めには9604発へと着実に増加しているとのこと。この数は、1945年に広島を壊滅させ、14万人を殺害した原爆の約14万6500発分に相当するそうです。
2024年12月に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞しました。「核兵器は極めて非人道的な殺りく兵器であり人類とは共存させてはならない、すみやかに廃絶しなければならない」。受賞に際し行った演説で、代表委員の田中熙巳さんが語ったことばは世界の人々の心に届き、核兵器廃絶への期待が高まりました。
国を越え「核なき世界」を訴えた被爆者の願いを受賞で終わらせてはなりません。
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル軍によるガザ攻撃など、計り知れない犠牲が生じても、いったん戦争が始まってしまうと終わらせるのは容易ではないことは明白です。だから、「絶対戦争は起こしてはならない」と私は考えるのです。
戦争は最大の人権侵害であるとともに最大の環境破壊です。
私たち生活者ネットワークは、戦争放棄をうたった平和憲法をもつ国として、平和主義を貫き、徹底した平和外交に努めることを国に求め、地域から反戦・平和の活動に取り組みます。
私が世話人を務める「平和・立憲・人権をつなぐ全国自治体議員会議」主催で下記の講演会が企画されています。ぜひ、ご参加ください。
(仮題)「戦後80年、高まる核戦争の危機を前に~」
講師:川崎 哲さん (ピースボート共同代表/ 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員)
日時:2025年8月19日(火)15時~
会場:衆議院第二議員会館(地下1階)第1会議室 オンライン併用
詳しくはこちらをご覧ください。⇒ https://rikkennetwork01.wixsite.com/mysite