訪問介護職の人材確保支援事業が対象拡大へ
高齢者、障害者介護の人材不足が深刻です。
介護職の人材不足は昨日、今日始まったわけではありません。なかでも訪問介護に従事する人材不足は顕著で、事業経営にも影響を与えています。ところが国は、2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げました。
資格取得ための費用助成から給与の支払いへ
区は、これまでも介護職員初任者研修や介護職員実務者研修の受講料、介護福祉士資格取得に要する費用の助成を行い、介護従事者の確保および職場への定着を支援し、区民の方への良質な介護サービスを安定して提供できるよう、介護人材の確保、育成に取り組んできました。
今年度は、人材不足が特に深刻な訪問介護の担い手を確保・育成するため、介護職員初任者研修受講料助成事業を拡充(最大10万円まで受講料の10割を助成)するとともに、新たに訪問介護採用応援補助事業を実施します。
この事業は、訪問介護事業所が無資格者を雇用した場合に介護労働に従事しながら、勤務の一部として介護職員初任者研修等を受講し、訪問介護事業所での雇用確保と資格取得支援を併せて行うものです。研修受講料は無料。就業時間内の研修受講中も給与の支払いがあります。
もともとは、所定労働時間が週10時間以上40時間以内の方を雇用する事業所を対象にした、都の「訪問介護採用応援事業」です。
区の事業は、都の事業では対象外の週8時間以上10時間未満の短時間の労働時間の人を対象とし、区の独自事業として、より幅広く人材確保に努めていると思います。
今、最も不足している訪問介護の従事者の確保、育成事業であり、遅きに失した感は否めませんが、本事業を活用して介護職を志す人が増えることを期待するものです。
学生は対象外
ところが、この事業は通信制・夜間部を含め学生は対象外となっています。また、区も都の基準に準ずるとしています。
都の資料では「働きながら資格取得に向けた時間を確保するという本事業の趣旨を鑑み、学生は対象外」という説明です。
私の知り合いに大学の二部に通いながら、日中は学費や生活費を賄うための仕事と地域福祉の活動に取り組んでいる若者がいます。
区の事業「訪問介護採用応援補助事業」であれば、学業に影響なく資格取得や介護労働の従事は不可能ではないはずです。
一般質問で「人材確保のためにあらゆる手立てを尽くすべき」と取り上げたところ、「一律に対象外とすることなく、柔軟に対応する」と答弁しました。
生活者ネットワークの提案で、訪問介護職の人材確保支援事業の対象が拡がりました。
あらためて区内事業者への周知を求めます。