地域包括支援センターの専門職配置基準を緩和する条例改正に反対
地域包括支援センターには原則、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員(以下、主任ケアマネ)の法定三職種を最低一人ずつ常勤職員として配置することが定められていました。ところが、専門職のうち特に主任ケアマネの確保が厳しい状況のなか、国は人材不足を理由に介護保険法を改正して柔軟な職員配置を可能にしたのです。
常勤職員から「常勤換算方法」へ
病気休暇や妊娠出産・育児休業、年度途中の退職などの理由で欠員が生じた場合、複数の非常勤職員(専門職)を配置し、欠員を解消する
複数圏域の合算
常勤換算方法を適用してもなお人員の確保が難しい場合、複数のセンターで三職種の合計数を満たせばよいことにする
地域包括支援センターは、3つの専門職が連携し、それぞれの専門性を活かしながらチームで高齢者の生活を支える役割を果たす総合機関です。区は、あくまでも「一時的な対応」という考えですが、条例改正することで「非常勤換算」や「複数圏域の合算」が常態化すること、さらには今後ますますニーズが高まる高齢者施策が後退しないか懸念します。
ケアマネジャーは減少傾向
地域包括支援センターにおける主任ケアマネの役割は、要介護・要支援認定に基づいてケアマネジャー(以下、ケアマネ)が作成したケアプランへの助言や問題解決を支援したり、介護が必要な高齢者に関するサービス事業者や病院などの関係機関とのつながりを築き、地域の専門職やボランティアとの連携や調整をおこなう「ケアマネジメントのネットワークづくり」など、多岐にわたっています。
また、主任ケアマネになるには、ケアマネの資格試験に合格するだけでなく、ケアマネとして5年以上の経験と主任ケアマネの研修を受けることが必要で、それなりの時間が必要です。
練馬区では、介護支援専門員を確保・育成するため、区内の介護サービス事業所に勤務して、介護サービス計画の作成を行っているケアマネ(介護支援専門員)・主任ケアマネ(主任介護支援専門員)が、資格更新の際の法定研修を受講する場合に、研修費用の一部を助成しています。しかし、全国的にはケアマネジャーの資格取得試験の受験者数は減少傾向で、さらに、高齢化も課題になっています。
今回の条例改正は、介護保険法の改正に伴うもので、自治体の条例改正をしなければならない議案でした。
今のところ主任ケアマネが増える見込みはなく、業務負担増や人材の取り合いなどで人材不足に拍車がかかることを懸念します。国は、対処的な規制緩和ではなく、抜本的な制度改正や介護人材育成のしくみを見直すべきと考え、議案に反対しました。
多くの介護従事者が主任ケアマネになりたいと思えるような処遇改善が必要であり、自治体からも国に改善を求めるべきです。

出典 2025年2月14日医療・高齢者等特別委員会 議案説明資料