徳島県立中央病院について 医療・高齢者等特別委員会視察報告②

医療・高齢者等特別委員会視察2日目は、徳島県立中央病院における救急医療体制やオン来診療、災害時の医療チームの派遣などについてレクチャーを受けました。

徳島県が運営する徳島県立中央病院は、一般病床390床、結核病床5床、感染症病床5床、精神病床60床の計460床を有し、三次救急医療機関や災害拠点病院としての役割を担う県の基幹病院です。

徳島県立中央病院の役割

・徳島県の中核病院として、「徳島県保健医療計画」に掲げられる5疾病6事業を中心に担う
5疾病:がん、精神疾患、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病
6事業:救急救命医療、災害時における医療、僻地(へきち)医療、周産期医療、小児医療、新興感染症等の感染拡大時における医療

高度急性期病院として、「緊急」もしくは重症の患者を中心に、病状の不安定な時期の集中治療、手術など高度で専門的な医療を24時間365日体制で提供する

広域的な救急医療提供体制の整備

2012年10月からドクターヘリを導入
「助かる命を助ける」べく、県内のみならず、兵庫県や和歌山県などの県外の要請にも応え、出動件数は年間500件ほどになるとのこと。
また、2017年10月から導入したホスピタルカーを、2020年11月から3日/週ドクターカーとして運行しているとのことです。2023年度は238件(2022年度 154件)の運行。

ドクターヘリのヘリポート見学の最中に出動要請が発動され、偶然にも職員が出動する現場に立ち会うことができました。

遠隔医療:ICTの活用
2023年5月 ER(救急)棟が完成し、陰圧設備を備えた救急及び感染症外来や遠隔審査室のほか、発災時に災害対策本部等として活用可能なスペースを充実しました。
遠隔審査室では、高速5G回線を活用して糖尿病遠隔診療や内視鏡遠隔診断支援を行うなど、遠隔地の患者へ医療提供が可能となり、患者、医師双方の負担軽減につながっているとのことです。

DPAT(災害派遣精神医療チーム)先遣隊の派遣

精神医療にも注力している同病院では、近年増加している身体合併症を有する患者に対応するだけでなく、一般病棟においても高齢者のせん妄などについて、多職種からなるリエゾンチームによる専門的な治療やカウンセリング等を行っています。

2016年熊本地震や2024年能登半島地震の際には、専門的な訓練を受けた医師、看護師等からなるDPAT(災害派遣精神医療チーム)を被災地へ派遣、被災差のストレスケアや精神保健医療活動を行ったとのことです。
現地での活動について報道などで見聞きしますが、被災地への派遣要請から現地までの道中や活動中の様子(物資の調達や食事、宿泊、避難所などでの対応状況など)が伝わってきて、改めて熱意なくして成り立たない活動であることを実感しました。

今後の取組

地域医療機関との機能分化や連携強化、遠隔医療を中心とした医療DX、職員の働き方改革等を進めることで、県民に必要な医療や同病院でなければできない質の高い医療について、さらなる進化を目指していくとのことです。

実際に医療現場の最先端で従事されている医療者からのレクチャーで、オンライン受診や救急行動など、医療ドラマで取り上げられていることを体感できました。
医療関係者の皆さんの献身的かつ情熱的な姿勢を実感する視察となりました。

ドクターカーの内部

医療従事者が乗車したドクターヘリが離陸するところ