高松市高齢者居場所づくり事業における多世代交流について 医療・高齢者等特別委員会視察報告①
11月12日、13日に医療・高齢者等特別委員会の視察で香川県、徳島県を訪問しました。
高松市では、心身の機能が衰えるにつれ家に閉じこもりがちとなっている高齢者の孤立を防ぐため、2014年度から「高齢者居場所づくり事業」を開始し、介護予防や健康づくり活動などの拠点としています。
事業実施の背景
高齢者の長寿を祝う敬老祝い金支給事業について、平均寿命の延伸等により、一部で長寿を祝うという本来の趣旨が薄れてきたことや、限られた財源をより必要性および効果が高い事業に活用し、高齢者福祉における新たなニーズに対応するために、77歳の方への敬老祝い金の支給を廃止し、財源としたとのことです。
「居場所」の現状
おおむね65歳以上の高齢者が気軽に集うことができるスペース
介護予防や健康増進、地域のボランティア活動、世代間交流など、さまざまな地域活動の場
運営主体:老人クラブ、自治会、事業所・NPO等、趣味の会(カラオケ・卓球・囲碁将棋等)、有志の会、個人
主な活動内容:健康体操、カラオケ・合唱、趣味・ゲーム、グランドゴルフ、おしゃべりなど
実施場所:市有施設、老人いこいの家、地域の集会所、事業所・NPO団体施設、個人家屋
開設数:2024年8月現在186か所
開設数の推移
開始初年度で114か所の居場所が開設
おおむね徒歩圏内(半径500メートル以内)に1か所を目安に、開設数の目標を300か所としていた
2018年度の241か所をピークに減少傾向であり、2023年実績は187か所
新型コロナウイルス感染予防で休止後、再開したものの人が集まらない状況とのことです。
居場所との連携事業
①医師・歯科医師を派遣し、健康講座や口腔ケア等の講習を行い、健康増進と共に知識の習得を図る
②学生を派遣し、健康チェックや学生が企画したイベント等を行い、健康増進効果を具体的に認識してもらうとともに、学生と高齢者との交流を図る
③民間事業者との連携により、タブレットを活用したゲーム感覚の脳トレなどで認知症予防を図る
④国保・高齢者医療課と連携し、健康教育、健康相談、フレイル状態にある高齢者の支援、健診や受診勧奨をおこなう
多世代交流ガイドブック
高齢者が子どもやその親世代等と触れ合うことで、活力向上や新たな地域コミュニティの醸成につながるとして、2017年度に「多世代交流ガイドブック」を作成し、居場所及び多世代交流の周知啓発を進めています。
同ガイドブックには、多世代交流の好事例等に加えて、取組方法や助成金等の情報を運営者目線で記載し、これを踏まえ、市職員が直接居場所運営者に対して、運営面等の相談や助言を行っているとのことです。
財源確保に課題があり、ガイドブックの更新が難しいとのことでした。今後、デジタルサイネージ等新たな広報媒体の活用や、職員が居場所に出向く回数を増やし、相談や助言に努めることで、多世代交流をさらに促進し、居場所を地域に根差したコミュニティスペースとしていくとのことでした。