今こそ知ろう!協同労働とは?
2020年12月成立、2022年10月施行の「労働者協同組合法」。
施行から2年が経過した現在の「労働者協同組合」の設立や運用状況と、今後の展望を共有する学習会を企画しました。
協同労働の事業体と特徴
・ワーカーズ・コレクティブ 組合員数:約7200人 年間事業高:約135億円 コレクティブ=仲間 その多くは、話し合える人数(小さな単位)で運営する事業体
・ワーカーズコープ 就労者:約15000人 失業当事者の就労創出として事業化、40年の歴史がある
・NPO法人共同連 障がいのある人々の働く場づくり、障害の有無にかかわらず時給は同一
法制化を求める背景
日本には協同労働の法律がなく、先進国の中ではいちばん遅れていました。
法人格がないと
・代表者が個人として責任を求められる
・公的な信用が得られない
・一般課税
・法制度がないため今ある法人格から、事業の性格に合ったものを選択(せざるを得ない)
企業組合 18% NPO法人 40%
どのような法律を求めてきたか
①一人一票の権利を持つ協同組合である
②事業体としての位置づけと有限責任
③非営利事業を明確にする
④法人税の優遇措置(特定労働者協同組合として一部実現)
⑤労働法制(社会保障関連)の改革⇒代表者に社会保障を
⑥準則主義(認可・許可でない届出のみとする)
ワーカーズ・コレクティブは働く人の協同組合
全員がオーナーで、出資、労働、経営(運営)に関わる事業体
共同経営で事業をおこなう資金を出し合う、協同組合型の働き方
一人一票の平等な権利と責任
地域社会への貢献 ⇒ 地域の多様な「困った」に応える。住み暮らす人々が自主的、自発的に集まって始める非営利市民事業
法制化の社会的意味と可能性、課題
【社会への影響】ワーカーズ・コレクティブ(協同労働=共に働く)の社会化
法制化により、「共に働く」というもう一つの働き方があることの周知と労働の選択肢の提案
【自らの組織づくりの強化】ワーカーズ・コレクティブの理念の継承と働く環境整備
この法律は働く者の権利に比重が置かれ、同時に経営する側でもあることについて十分に議論できているとはいえない。また、現在の労働法(雇用者と雇用されるものが違うことが前提)の枠内に位置づくことで成立したため、代表者には雇用保険、労働者災害保険が適用されないという課題が残る
【協同労働の実態が社会を変える】持続可能な地域づくりを拡げる
超高齢社会を迎え、地域福祉の推進や地域との共生が大きな課題になっている。地域の中でディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)な働く場を作り出し、働きたいと願う人の能力が発揮できる環境や条件を創出する。住民主体の地域づくり、自治を基本にした働き方で地域づくりを再構築し、持続可能な地域づくりにつなげる
そもそも「協同組合」とは
自主運営・自主管理「キーワードは自己実現」
【協同組合の定義】協同組合は、共同で所有し民主的に管理する事業体を通じ、共通の経済的・社会的・文化的ニーズと願いを満たすために自発的に手を結んだ人々の自治的な組織
【価値】組合は、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、そして連帯の価値を基礎とする。それぞれの創設者の伝統を受け継ぎ、協同組合の組合員は、正直、公開、社会的責任、そして他人への配慮という倫理的価値を信条とする。
【類型】農協・漁協・森林組合・信用組合・医療生協・学生生協・消費生活協同組合(生協)
私自身、ワーカーズ・コレクティブで働き、労働者協同組合法(ワーカーズ法)成立に向けて活動してきました。念願の法制化が実現したものの、「小規模な事業運営」「住民の自発的な働き方」「非営利事業」を運営する中で、現状の労働法に定められた最低賃金の保障などが実現できるのか、難しいのではないかと考えてきました。今回の学習会では、その課題の解決が現実的なのかを参加者で共有できました。労働に対する報酬で生活費を賄えることは理想ですが、協同労働の報酬と生活できる「所得・収入・報酬」の分けて考えると、たとえば、年金を受け取りながら地域で自分の特技を生かして働くことの可能性が見えてくるのではないか。自分なりに整理できました。
法制化から4年、新規設立した労働者協同組合は92団体。
自己実現と地域貢献に充足感を得る働き方が拡がることを期待します。