武蔵野市立学校給食センターを視察

私が加入する生協では、組合員自身が地域の課題を見出し、課題を解決していくための政策提案に取り組んでいます。「食と農」は重要なテーマのひとつであり、学校給食と都市農業、新鮮な地場農産物の活用に対する関心は高く、生活者ネットワークも度々議会で取り上げてきました。

学校給食は成長期の子どもたちの1食であり、栄養価と共に美味しさと安全性は欠かせない視点です。
生活クラブ生協「食と農」政策委員会主催の武蔵野市学校給食センター見学会に参加(7月10日)し、市の取り組みの経緯と現状を視察しました。武蔵野市の学校給食は、映画「希望の給食」で先進的な事例として取り上げられています。

桜堤調理場について

2021年8月に改築され、現在、中学校6校、小学校2校分、約3000食を提供。
衛生管理の徹底
最新の学校給食衛生管理基準に沿った設計。食材の受け入れ、下処理、調理、食器洗浄などの作業区域を明確に分ける(各学校への搬出作業を優先するために1階で調理。食器洗浄スペースは3階に設計)。
作業の細分化に伴い、調理や洗浄作業をサポートする短時間勤務枠を設けて、地域で募集したスタッフを配置、運用することで業務の負担軽減を図る。
防災機能
耐震性を高くして、市内各避難所の炊き出し支援を行えるよう、米(1500㎏)や調味料の備蓄庫、受水槽、非常用発電装置、プロパンガスに対応した釜を備えている。

食育機能
2階は、調理スペースを見下ろせる見学者ホールや、食に関するイベントを開催できる「地域食育ステーション」や「食育実習ゾーン」を配置し、学校給食を通した食育の推進と情報発信を目指しているとのこと。「市民に開かれた調理場」という感じを受けました。

環境との調和
太陽光エネルギーなどの省エネルギー設備
玉川上水周辺の環境と調和した外観、近隣に配慮した防音・防臭設備

 

見学者ホールで調理の模擬体験

武蔵野市学校給食の特色

市内には、小学校12校、中学校6校あり、単独調理施設(自校式)は5校(親子方式1校含む)。
残りは、北町調理場(小学校5校分)と今回視察した桜堤調理場(中学校6校、小学校2校分)で調理しています。
小学校は12校、すべて自校方式に転換する方針で、学校改築に伴って自校式給食調理場を設置する、自校式完了後は北町調理場は閉鎖する計画になっているとのことです。

給食調理業務はすべて、一般財団法人武蔵野市給食・食育振興財団(以下、財団)に委託。
財団は、2010(平成22)年度に中学校給食を全校で実施するにあたり、市の学校給食の伝統を継承して将来にわたって行っていくために設立されました。
武蔵野市では、「専門的な公的サービスは財政援助出資団体に委託する」という考えのもと、民間参入を促すのではなく「公的な役割」を維持し、「保育の質」「給食の質」福祉サービスの質」を守ってきた経緯があり、市長が変わっても継承されているとのことです。

調理業務のほかに、新入生への配膳指導など、学校のカリキュラムおよび地域と連携した丁寧な食育事業などにも取り組んでいます。

現状の地場農産物の利用率は24%。35%の目標を掲げているとのことですが、実現はなかなか難しいとのことです。
給食用の米は、4か所の生産地を指定して有機栽培、無農薬栽培、特別栽培のものを優先購入することが「武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針」に明記されています。提携産地には友好都市が含まれています。

「出汁から手作り」「冷凍品など加工品は使わない」「地場野菜を積極的に使用する」など、食の安全性への取り組みは、練馬区の方針とも共通していると思います。ただ、市が出資した財団に委託しているメリットとして、「自分の子供に食べさせたくないものは使わない」とか「不揃いな野菜でも子どもたちの為に使うことを厭わない(いとわない)」ことが徹底できるのではないか、財団職員の熱い説明からそう感じました。

練馬区の学校給食はかなり高い水準だと思います。一方で、「委託事業者が変わると味が変わってしまう」という保護者の声が届いています。区の給食がさらに良くなるように、今回の視察を活かしていきます。

この日の献立は、スパゲティ肉みそかけ、コーンとキャベツのソテー、かぼちゃのホカホカ煮、低温殺菌牛乳。おいしく試食させていただきました。