区立デイサービス事業が廃止に

2024年3月に策定された「練馬区公共施設等総合管理計画[実施計画]2024年度~2028年度」において、区立デイサービスセンター(以下、区立デイ)は原則廃止することが示されました。区は、廃止の理由を「民間のデイサービスセンターが約200か所あり、サービスも多様化している」としています。第二回定例会中の保健福祉委員会で8か所ある区立デイそれぞれの廃止時期の予定が明らかになりました。光が丘デイは2025年度末に廃止し、はつらつセンター光が丘を拡大。その他の7か所については下記の表のとおりです。

2024年6月17日、医療・高齢者等特別委員会「資料7」より抜粋

表中の「決定」は、2026(令和8)年度中に新たな活用等を決定するという意味です。

現時点の新たな活用例 

廃止されたあとの施設は福祉目的に限定して活用する方針が示されています。現在明らかになっているのは次の通りです。

  • 東大泉デイ:児童発達支援事業「とことこ」および就労継続支援B型事業「ねりま第二事業所」を運営する社会福祉法人に貸し付け、同事業を移転し充実する。
  • 豊玉デイ:既設の地域包括支援センターにおいて、新たに街かどケアカフェ事業を実施。
  • 練馬デイ:長期間ひきこもり状態にある方等への居場所支援や生活困窮者等への就労準備・職場定着支援を行う「あすはステーション」を移転し、充実する。
  • 高野台デイ:認知症デイを廃止により生じたスペースに地域包括支援センターを移転し、街かどケアカフェも新たに実施。

区立デイの運営はいずれも指定管理者制度をとっており、廃止時期の公表は今後の事業縮小に伴う職員配置等も考慮し事業者と協議したとのことです。

民間の放課後等デイサービスが突然閉鎖

区内の重い障害がある子どもが放課後に通う施設が6月に突然閉鎖し、利用していた子どもたちと保護者の暮らしに大きな影響を及ぼしています。区は、利用者のニーズに対応する施設を探しましたが、医療的ケアの要件が合わないなど、受け入れ先の確保が難しい状況です。夏休みの対応が必要なことから、区立子ども発達支援センターに重症心身障害児放課後等児童デイサービスを開設。7月22日から利用開始となりましたが、あくまでも緊急的・臨時的な対応です。

放課後等児童デイサービス事業を開始するには東京都の認可が必要です。通常、認可から開設までに少なくとも3~4カ月は必要なのだそうです。今回の対応は、「子ども発達支援センター」として事業認可されていたので、約1か月半で新たに放課後児童デイの開設が可能だったとのことです。

高齢と障害福祉の違いはあっても、改めて公立の福祉事業の重要性を認識させられました。

公共の福祉が問われているのでは?

デイサービスは在宅介護の利用者と家族にとって重要な支援です。

区は「民間のデイサービスが増えているから、もう区立デイは必要ない」という姿勢ですが、その多くは営利企業です。高齢者、障害者、子どもなど、命を育む「ケアする仕事」の民営化、営利化は、従事者の待遇や就労環境の悪化を招いていると指摘されています。さらに深刻な人出不足となり、結局は利用する側が不利益を被ることにつながっているといわざるを得ません。

公定価格で報酬が決められている、介護、障害福祉、保育などの福祉事業を安定的に運営し質を高めていくことが、だれもが安心して暮らす地域社会の基盤であると考えます。少子高齢社会、多様なニーズに応じるために、区は公共の福祉事業の再建を検討すべきです。

平和・人権

次の記事

終戦の日に