区立認知症デイの廃止は拙速に進めるべきではない
認知症高齢者の急増かつ重度化、単身の認知症高齢者の増加は必至なのに
第二回定例会で審議された、議案第45号「練馬区立デイサービス条例の一部を改正する条例」は、区立高野台デイサービスセンターで実施している認知症対応型通所介護事業、いわゆる認知症デイサービスを今年度末で廃止するものです。
区は廃止する理由を「民間のデイサービスで認知症高齢者の受け入れ体制の整備が進んだ」、「認知症対応型グループホームや『※小規模多機能型居宅介護』などの認知症の支援に適したサービスが整ってきた」と説明しました。また、区立含めて11か所の認知症デイの利用率は5~6割で、利用率が低いのは「利用料と(認知症という)名称」も影響しているとも。
※同一事業者がデイサービス・ホームヘルプ・ショートステイを一体的に提供する事業
認知症デイサービスは、認知症の専門知識のある看護・介護職員の配置基準が手厚く、必然的に利用料も一般デイサービスと比べて高く設定されています。もし、利用負担や「認知症」という名称を理由に一般デイサービスを選んでいるとしたら、適切な支援につながっていないケースもあるのではないかと懸念します。
区のサイトでも、「ゆったりとした時間の流れの中で「お客様らしく過ごせる時間」を大切にしていきます。認知症の症状に応じた個別ケアの提供はもちろんのことですが、お客様を深く知り「できることを探すケア」を提供します」と認知症デイサービスを紹介しています。
区は、現場を残しながら制度の課題に対応し、負担軽減や認知症の理解啓発なども含めた認知症施策の充実を図るべきです。
高野台デイサービスセンターの今後は?
現在、高野台デイサービスセンターは、認知症デイサービス(定員10名)と一般のデイサービス(定員48名)を実施していました。
今回の議案が可決し、認知症デイサービスは廃止。空いたスペースを改修して※地域包括支援センターと街かどケアカフェに機能転換します。
改修期間は、一旦デイサービスは閉鎖しますが、改修後は一般デイサービスの定員30名に縮小して2025年4月に再開する計画になっています。
※移転する地域包括支援センターは、大泉町2丁目の練馬ゆめの木地域包括支援センターです。担当地域(谷原、高野台3~5、三原台、石神井町2)は変更ありません。
地域包括支援センターは、介護や医療、福祉、健康など高齢者の暮らしのお困りごとに対応する公的な機関です。生活者ネットワークは、民間施設に併設されている所は区立施設に移転すべき、と以前から政策提案してきましたので、地位包括支援センターの移転自体には反対するものではありません。
しかし、区は8カ所の区立デイサービスセンターを廃止する方針を示したため、再開する高野台の一般デイサービスも数年後には廃止されてしまうのです。そうであれば、認知症デイサービスを残す選択肢もあったのではないと考えます。
全区立デイサービスの廃止、その後の施設活用等については別途報告します。