PFAS地下水汚染問題を考える
多摩地域の水道水に使われていた井戸水から発がん性が疑われるPFASが検出されたことを受け、市民団体が実施した血液検査では、半数以上の住民の血中濃度が「健康被害の恐れがある水準」を上回ったことが報道されました。さらに、東京都環境局の調査では練馬区も国の暫定の目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を超える値が検出されていると、区民から心配の声が届いていました。
東京・生活者ネットワークは、以前から、地下水保全と有害化学物質両方について政策提起を行ってきました。昨今のPFAS地下水汚染問題を受けて、まずは「PFASについて知る」ことが必要であると、8月4日に学習会を企画。私も、自治体議員として今後どのように取り組んでいくのか整理するために参加しました。
講師は、NPO法人有害化学物質削減ネットワーク理事で工学博士の槌田博氏。
PFASの特徴、問題点など
PFASは、撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の特性を活かし、撥水撥油剤、界面活性剤、半導体用反射防止剤、殺虫剤および調理用器具のコーティング剤などの幅広い用途で使用されています。
米軍横田基地での泡消火剤の漏出が大きく報道されましたが、
難燃性、防水・防汚、撥油の特性を活かした繊維(衣類)、食品の包装材、化粧品など私たちの暮らしにかなり浸透していることがわかりました。
生殖と発育への影響や発がん性、免疫系の障害など人体への健康被害に加え、環境中に放出されることで野生生物にも影響することが考えられます。
先行して規制が始まって欧州連合と比較すると、米国はいくつかの州政府が規制する取り組みを行っていますが、連邦規制はないとのこと。日本は規制基準もなく、遅れを取っていると言わざるを得ません。
東京都がやるべきこと
①素早く徹底した調査
都内全域の地下水の水質調査は通常、島しょを除く都内を260ブロックに区画し、4カ年で全ブロックを一巡するよう調査を実施しています。しかし、今は非常時と捉え、一刻も早く一次調査が終えられるように、来年度予算をつけスピーディーに調査し、さらに、汚染井戸周辺地区も調査すべきです。
そして、希望者には個人所有の井戸水や、血液の無償検査も実施し、実態把握と住民の不安に応えることが必要だと考えます。
②結果の公表
これからの調査は、町域および丁目までの位置情報を公開する
③PFASの使用禁止
④汚染源の封鎖と汚染水の貯留
東京電力福島第一原発で習得した地下水制御技術を活かす
⑤地下水の浄化
活性炭、イオン交換樹脂、高度酸化プロセス、プラズマ処理などのPFAS除去技術があげられていますが、さらなる浄化技術の開発を進める
水道水源の地下水が汚染され、実際にPFASの血中濃度が高くなっている人がいることが市民の調査によって明らかになっています。水道水を管理する東京都が責任をもって、希望者には無償で血液検査をおこなうべきです。また、PFAS を使用している製品が暮らしの中にあり、知らない間に暴露している可能性もあります。地域を限定せず、希望者の検査を実施することで地下水との因果関係の有無や、健康被害のリスクを自覚し、たとえば定期的にがん検診を受けて早期発見に努めるなどの選択肢が広がるのではないかと考えます。
地域の生活者ネットや都議会生活者ネット、専門家とも連携して地下水を保全する政策を提案していきます。