東京外環道訴訟 報告集会に参加

東京外環道沿線の住民が、大深度地下使用認可無効確認等を求めて2017年12月に東京外環道訴訟を提訴して5年。
1月14日(土)、裁判の経過や陥没事故周辺の状況などを報告し共有する集会に参加しました。

ジャーナリストが見た外環道・リニア問題

基調講演は、10年以上リニア新幹線を取材しているフリージャーナリストの樫田秀樹さん。

東京外環は工事着手前から多くの沿線住民が暮らしへの影響を懸念し反対してきたが、大手メディアの報道は陥没事故後。原発同様「事故待ちジャーナリズム」だと指摘しました。市民が警鐘を鳴らしていることをもっと報道していたら、市民の問題共有や事業者の姿勢など、現状とは変わっていたのではないかと感じているそうです。
また、シールド工法、大深度法の問題は、北陸新幹線や北海道新幹線、圏央道・横浜環状南線にも共通していると。京都駅までつながる北陸新幹線計画は、一大観光地でもあり反対運動が盛り上がり大きく迂回するルートに変更になったとか。

良識あるジャーナリスト同志の連携、市民運動との連携で、問題を発信し社会を変える力にすることが必要であると。

陥没事故から2年、いま起ころうとしていること

2020年10月の東京外環道シールドトンネル直上の調布市の住宅地で道路陥没が起き、住民の方々の苦難は未だ続き、むしろ深刻になっています。

地盤補修のために立ち退きを迫られている住民のおひとりは、土地や家はお金に換えられるかもしれないが、過ごしてきた時間はお金には代えられない。そして、それを訴えても(ほとんど)共感してもらえない。この間、外環のことを考えない日はなかった、と発言されました。

工事による振動や低周波音が住民の健康や建物に与える被害を住民とともに調査している、市民科学研究室の上田昌文さん。事故が発生した場合、徹底した原因究明のための第三者による事故調査委員会をつくらなければならない。
1986年のスペースシャトル チャレンジャー号の爆発事故の調査を担うロジャース委員会のメンバーであるノーベル物理学賞受賞者のリチャード・ファインマンの発言「技術が成功するためには、体面よりも現実が優先されなければならない、何故なら自然は騙しおおせないからだ」を紹介し、事故調査委員会をつくらず、事業を進めることだけしか考えていないような事業者は「自然を騙そうとしている」と指摘しました。

外環工事は憲法違反

弁護団からは裁判の進捗報告があり、「憲法第29条3項(私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる)に違反する大深度法は廃止するしかない」と。

直近の東京外環(関越~東名)工事の費用便益比は1.01。1を切れば不採算事業であり、公共工事として容認できるのか問われます。しかも、大泉ジャンクション部のシールドマシンの破損の補修の経費は未だ明らかにされていません。さらに、世界最大級の難工事と言われる地中拡幅部の工法は未だ示されず、事業費が増大することは明らかです。

多くの犠牲を生み、憲法に違反する東京外環道事業は中止すべきと考えます。

会場とオンラインで約80名の方が参加

フリージャーナリスト 樫田秀樹さん

左が上田昌文さん

弁護団 左から 遠藤憲一さん、武内更一さん