4月から3年間の介護保険料は6,600円(月額)

介護保険料など定める「練馬区介護保険条例」。
第1回定例会で改正され、4月から3年間の第8期計画の練馬区介護保険料基準額が年額79,200円、月額6,600円に決定しました。
2018~2020年度の第7期と比較すると2%の増額です。

被保険者の負担能力に応じるために保険料の設定を第7期の15段階から17段階に増やしたり、練馬区介護保険給付準備基金から 24 億円を取崩すなど、区は、保険料抑制のために取り組んでいますが、23区中上位で、大きな負担です。

高齢者が要支援・要介護の状態になっても住み慣れた地域で安心して暮らすために、さまざまなサービスを選択できることは「介護の社会化」の視点で重要です。

練馬区には、区民からの要望が多い特別養護老人ホーム32施設(2020年度末現在)をはじめ、利用者の希望や様態に応じて訪問介護やデイサービス、ショートステイを組み合わせる「小規模多機能型居宅介護」、医療サービスを加えた「看護小規模多機能型居宅介護」、認知症対応型グループホームなどが徐々に増設されていますが、保険料の上昇要因になっています。

また、介護職の待遇は厳しく、人材確保が喫緊の課題になっています。
厚生労働省は「処遇改善加算」のしくみがあると言いますが、現場からは指標や加算率などが実態に合っていないなどの訴えがあります。介護報酬そのものを底上げしなければ、介護は魅力ある仕事にはならず、人材不足が解消しませんが、今のしくみでは、報酬を上げれば保険料も上がります。

高齢者人口は増加に伴い、介護給付は確実に増えるのですから、介護保険料と同額の税金でまかなわれる「介護保険制度」は、すでに破綻していると言わざるを得ません。

介護の社会化を謳った介護保険制度開始から20年。残念ながら3年ごとの改正のたびに後退しています。さらに、国は「持続可能な制度」を理由に給付を縮減する一方で、家族介護へと逆行しているのではないか懸念します。

高齢になっても地域で自分らしく、安心して暮らすためには、私たちが納めた税金をさらに投入するなど、社会保障として制度そのものの抜本的な見直しが必要です。

高齢者の身体状況を疑似体験すると、思うように動けないことを実感します。